初心者でも簡単!セルフでできる垢抜けアイブロウデザインの作り方

「眉は顔の印象の8割を決める」なんて言われると、なんだか途端に自分の眉が気になってきませんか?かく言う私も、メイクに目覚めたばかりの頃は、この眉にどれだけ泣かされたか分かりません。当時の流行りだった細いアーチ眉に憧れて、自己流で抜いて、剃って…気づけば左右非対称の、なんとも頼りない眉が鏡に映っていました。メイクで一番時間がかかるのに、一番納得いかない。そんな眉コンプレックスを抱えていた時期が、実は長くあったんです。

しかし、 Webマーケティングの世界で多くの美容コンテンツに携わる中で、プロのヘアメイクアップアーティストの方々から教わったのは、眉デザインには誰でも再現できる「基本のルール」がある、ということでした。それは決して、特別なセンスや高価な道具が必要なものではありません。いくつかのポイントを理解し、自分の骨格という最高のガイドを信じるだけで、まるでサロンで整えてもらったかのような「垢抜け眉」は、自分の手で作り出せるのです。

ここでは、私が数々の失敗から学び、プロから盗んだ知見を余すところなく詰め込みました。道具の選び方という入口から、あなたの魅力を最大限に引き出すデザインの設計図、そして日々のメイクテクニックまで。もう、毎朝眉メイクに頭を悩ませる必要はありません。この「眉のトリセツ」を手に、自信あふれる新しい自分に出会うための第一歩を踏み出しましょう。

目次

1. まずは揃えたい基本の道具

垢抜け眉への道を歩み始める前に、まずは最低限の「武器」を揃える必要があります。コスメショップに行くと、多種多様なアイブロウアイテムが並んでいて、「一体どれを買えばいいの?」と途方に暮れてしまいますよね。でも、安心してください。最初から全てを完璧に揃える必要は全くありません。ここでは、私が「これさえあれば、まず戦える」と断言する、本当に必要な基本の道具を7つ、厳選して紹介します。

スクリューブラシ

全ての基本となる、最重要アイテムです。メイク前やカットの前に、眉の毛流れを整える「眉専用のクシ」だと考えてください。ぼさぼさの寝癖がついたまま髪を切らないのと同じで、眉もまずはこのブラシで毛流れを整えることから始まります。メイクの最後にパウダーをぼかしたり、ペンシルで描きすぎた部分を馴染ませたりと、その用途は無限大。アイブロウペンシルに付属していることも多いですが、一本立ちした質の良いものを持っておくと、仕上がりが格段に変わります。

アイブロウコーム付きハサミ

眉の長さを整えるための、いわば「眉の散髪セット」です。コームとハサミが一体化しているタイプは、片手で扱えるため初心者の方には特におすすめ。コームで毛をすくい上げ、そのままはみ出た部分をカットできるので、切りすぎる失敗を防いでくれます。刃先がカーブしている小さなハサミは、細かい部分の調整がしやすく、安全に使えるので一つ持っておくと非常に便利です。

フェイスシェーバー

眉周りのうぶ毛や、ガイドラインからはみ出た不要な毛を処理するための電動シェーバーです。カミソリよりも肌への負担が少なく、細かい部分も安全に処理できるのが最大のメリット。眉の下やまぶたの上など、デリケートな皮膚を傷つけずに、眉の輪郭をくっきりと際立たせることができます。

毛抜き

シェーバーでは処理しきれない、太くてしぶとい毛をピンポイントで抜くために使います。特に、眉間や眉ラインから明らかに外れた場所に生えている毛の処理に有効です。ただし、抜きすぎは禁物。必要な毛まで抜いてしまうと、二度と生えてこない可能性もあるため、あくまで最終手段として慎重に使いましょう。

アイブロウペンシル

眉の輪郭を取ったり、毛が足りない部分に一本一本描き足したりするためのアイテムです。芯が硬めのものは細い線が描きやすく、柔らかめのものはふんわりとした色付きになります。初心者の方は、細くも太くも描ける、楕円芯や薙刀型のものが扱いやすいかもしれません。色は、ご自身の髪色より少し明るいトーンを選ぶと、自然で垢抜けた印象になります。

アイブロウパウダー

ペンシルで描いた眉の隙間を埋め、自然な立体感を出すために使います。複数の色がセットされたパレットタイプが一般的で、これを混ぜて自分に合った色を作れるのが魅力。眉頭は薄い色、眉尻に向かって濃い色を乗せることで、プロが仕上げたような美しいグラデーションが簡単に作れます。

眉マスカラ

仕上げに使う、眉毛用のマスカラです。眉毛一本一本をコーティングして色を付け、毛流れを整えて立体感をキープする効果があります。髪をカラーリングしている方は、眉マスカラで眉の色を髪色に合わせるだけで、一気に統一感が生まれて洗練された印象に。これも、髪色より少し明るめを選ぶのがポイントです。

これらの道具は、いわばあなたの眉を理想の形へと導くためのクリエイティブツールです。一つ一つ、その役割を理解しながら揃えていく時間も、きっと楽しいはずです。

※関連記事:【初心者向け】アイブロウデッサンの始め方|美眉を描くための基本練習

2. 失敗しないための眉デザインの設計図

さて、道具が揃ったからといって、いきなりハサミを手に取ったり、ペンシルで描き始めたりするのは絶対にNGです。それは、地図を持たずに見知らぬ土地へ航海に出るようなもの。必ず、座礁してしまいます。セルフアイブロウで失敗する人のほとんどが、この「設計図」の工程を飛ばしてしまっているのです。

では、眉における設計図とは何でしょうか?

それは、あなた自身の「骨格」を理解し、それを元に理想の眉の形を決めることです。

流行の眉の形をそのまま真似しても、なんだか自分にはしっくりこない。そんな経験はありませんか?その理由は、人それぞれ顔の骨格、特に眉周りの筋肉(眉丘筋)のつき方が全く違うからです。あなたの魅力を最大限に引き出す眉の正解は、ファッション雑誌の中ではなく、あなた自身の顔の中にすでに存在しているのです。

まずは鏡の前に立ち、自分の眉をじっくりと観察してみてください。そして、指で眉の上を優しくなぞってみましょう。眉頭の上から眉尻にかけて、少し盛り上がっている骨の部分が感じられるはずです。それが、あなたの眉丘筋。基本的に、この筋肉の流れに沿って眉を描くことが、最も自然で美しく見えると言われています。

この設計の段階で意識すべきことは、以下の3つです。

1. 自分の眉の生え方、クセを知る

  • 毛流れはどうか?(上向き、横向き、下向きなど)
  • 毛の密度は均一か?(眉頭は濃いけど眉尻は薄い、など)
  • 左右で生え方に違いはあるか?

2. 自分の骨格(眉丘筋)を確認する

  • 眉丘筋はどこから始まり、どこで一番高くなっているか?
  • 筋肉のカーブはなだらかか、角度があるか?
  • 左右で高さや形に違いはあるか?

3. なりたいイメージを具体化する

  • 優しい、ナチュラルな印象にしたいのか?
  • クールで、知的な印象にしたいのか?
  • 可愛らしい、若々しい印象にしたいのか?

例えば、優しい印象にしたいなら、骨格に沿いつつも少しアーチをつけた平行眉。クールな印象なら、骨格の高い位置を活かした少し角度のある眉、といったように、「自分の骨格」と「なりたいイメージ」をすり合わせていくのです。

この「設計図」を描く作業は、いわば自分自身との対話です。自分の顔とじっくり向き合い、「私の魅力はどこだろう?」「どんな自分になりたいだろう?」と考える。この一手間が、ただ眉を整えるという作業を、自分をプロデュースするというクリエイティブな行為へと変えてくれます。いきなり完璧な設計図を描く必要はありません。まずは自分の顔の特徴を理解することから始めてみましょう。

3. 眉の黄金比をガイドにする方法

自分の骨格と向き合い、なりたいイメージが固まったら、次はいよいよ設計図に具体的な「寸法」を入れていきます。それが、誰にでも似合うとされる「眉の黄金比」です。これは、顔の他のパーツ(目や鼻)との位置関係から、最もバランスが良く見える眉の基本形を導き出すための、魔法のようなガイドラインです。

この黄金比さえマスターすれば、「眉尻はどこまで描けばいいの?」「眉山の正しい位置って?」といった長年の疑問が、一瞬で解決します。用意するのは、アイブロウペンシルのような一本の細長い棒だけ。鏡の前で、実際にペンシルを顔に当てながら確認していきましょう。

眉頭の位置:小鼻のくぼみの真上

まず、ペンシルを地面と垂直になるように持ち、小鼻の一番膨らんでいる部分の脇のくぼみに当てます。そのまま真っ直ぐ上に伸ばした線と、眉が交差する点。そこが、あなたの理想の「眉頭」の位置です。これより内側にあると、眉間が狭く見え、少し窮屈で険しい印象に。逆に外側すぎると、間延びした印象になってしまいます

眉山の位置:黒目の外側のフレームから目尻の真上


次に、眉のカーブの頂点となる「眉山」の位置を決めます。これは少し幅がありますが、正面を向いた時の、黒目の外側のラインから目尻までの間に設定するのが基本です。ペンシルを小鼻のくぼみに当て、黒目の外側のラインを通るように斜めに当てます。その延長線上が、最も自然で一般的な眉山の位置。もう少しキリッとした印象にしたい場合は、目尻の真上あたりに設定すると、より角度のあるシャープな眉になります。重要なのは、眉全体の長さの、だいたい2/3程度の位置に眉山が来ることです

眉尻の位置:小鼻と目尻を結んだ延長線上

最後に、眉の終点である「眉尻」です。ペンシルを小鼻のくぼみに当て、今度は目尻に重ねます。そのままスーッと伸ばしていった延長線上が、あなたが眉を描き終えるべき理想のポイントです。これより短いと、少し野暮ったい印象に。逆に長すぎると、顔の重心が下がって見え、老けた印象を与えてしまうことがあります。

眉頭と眉尻の高さ

理想的なのは、眉頭の下のラインと、眉尻が同じ高さにあることです。眉尻が眉頭より下がりすぎると、いわゆる「困り眉」になってしまい、頼りなく悲しげな表情に見えてしまいます。ペンシルを水平に当てて、高さが揃っているか確認しましょう。

この眉頭・眉山・眉尻の3つのポイントさえ決まれば、あなたの顔のバランスに完璧にフィットした眉の基本のフレームが完成します。初めての方は、アイライナーなどでこの3点に小さく印をつけておくと、後の工程が非常に楽になります。

この黄金比は、あくまで基本のガイドです。あなたの骨格やなりたいイメージに合わせて、眉山を少しなだらかにしてみたり、眉尻を少し短めにしてみたりと、アレンジを加えることで、あなただけの「オーダーメイドの眉」が完成します。まずはこの基本の寸法をマスターすることが、垢抜け眉への一番の近道なのです。

4. 眉ハサミとコームを使ったカットの基本

設計図が完成し、黄金比のガイドポイントも決まりました。いよいよ、不要な部分を整えていく工程に入りますが、その前に「長さ」の調整、つまりカットが必要です。

ここで多くの人がやりがちな失敗が、いきなり眉毛を短く切り揃えてしまうこと。これをやってしまうと、眉に「穴」が空いたように見えたり、毛流れが不自然になったりする原因になります。眉カットの基本は、あくまで「毛流れからはみ出た、余分な長さだけを切り落とす」ことです。全体の長さを均一にする必要は全くありません。

ここでは、失敗しないための正しいカットの手順を、ステップバイステップで解説します。

ステップ1:スクリューブラシで毛流れを整える

何よりもまず、眉毛の「寝癖」を直し、本来の毛流れを整えます。眉頭は下から上へ、眉の中央から眉尻にかけては、斜め下に向かってとかしましょう。この一手間を省くと、本来切る必要のない毛まで切ってしまうことになります。

ステップ2:眉の下のラインからはみ出た毛をカットする

次に、アイブロウコーム、もしくはスクリューブラシを眉の上から当て、毛を少し下向きにとかします。この時、あなたが理想とする眉の下のライン(アンダーライン)からはみ出た毛が見つかるはずです。その、はみ出た毛だけを、一本一本狙うようにして眉ハサミでカットします。一気にジョキッと切ろうとせず、慎重に、少しずつ行うのがポイントです。

ステップ3:眉の上のラインからはみ出た毛をカットする

今度は逆に、コームやブラシを眉の下から当て、毛を少し上向きに持ち上げます。そして、理想とする眉の上のライン(トップライン)からはみ出た毛だけをカットします。特に眉山の上あたりは、長く伸びた毛が潜んでいることが多いので、丁寧に確認しましょう。

ここでワンポイントアドバイス

特に眉が濃い、もしくは長いのが悩みという方は、眉の中央部分の長さを調整したくなるかもしれません。その場合は、コームを肌と平行になるように眉に当て、少しだけ浮かせて、そこからはみ出た毛をカットします。ただし、これは少し難易度が高いテクニック。切りすぎるとまだらな印象になってしまうので、初心者のうちは、上下のラインからはみ出た毛を処理するだけでも十分です。

私が駆け出しの頃、眉毛が濃いのがコンプレックスで、全体を均一に短く刈り込んでしまったことがあります。結果、まるで芝生を刈った後のように毛の断面が目立ち、かえって不自然で強い印象になってしまいました。眉毛は、長さに多少のばらつきがあるからこそ、自然な毛流れと立体感が生まれるのです。

カットは、あくまで「形を整える」ための下準備。やりすぎは禁物です。もし不安なら、最初は数本切るだけでも構いません。「ちょっと物足りないかな?」くらいで止めておくのが、セルフカットを成功させる最大の秘訣です。

※関連記事:【眉の整え方】初心者でも失敗しない!黄金比率で美眉を手に入れる方法

5. 理想の眉デザインをペンシルで描く

カットで大まかな形が整ったら、いよいよメイクの工程です。ここからは、あなたの眉を理想の形へと近づけるための「描く」作業。その主役となるのが、アイブロウペンシルです。ペンシルは、眉の輪郭を決め、毛が足りない部分を補うための、いわば眉の「骨格」を作るアイテムです。

ここで目指すのは、「塗り絵」のようにベタっと塗りつぶすことではありません。あくまで、自眉を活かしながら、足りない部分に「毛」を一本一本描き足していく。この意識を持つだけで、仕上がりは驚くほど自然になります。

まずは眉の下のラインから描く

眉メイクは、アンダーラインから始めると全体のバランスが取りやすくなります。眉の中央下あたりから眉尻に向かって、スーッと一本の線を引くように描いてみましょう。このラインがガタガタしていると、眉全体がぼやけた印象になります。ペンシルを寝かせ気味に持ち、軽いタッチで描くのがコツです。このアンダーラインが綺麗に描けると、眉全体が一気に引き締まって見えます。

眉尻の形をシャープに決める

黄金比で決めた眉尻のポイントに向かって、シュッと消えるようにシャープにラインを描きます。眉尻は、眉全体の印象を決定づける重要なパーツ。ここがぼやけていると、垢抜けない印象になってしまいます。ペンシルの先を使って、繊細に仕上げましょう。

眉山から眉尻をつなぐ

次に、眉のトップラインを描きます。黄金比で決めた眉山の位置を頂点として、先ほど描いた眉尻に向かって、なだらかにラインをつなぎます。この時、眉山の角度をつけすぎるとキツイ印象に、なだらかすぎると野暮ったい印象になります。自分の骨格と、なりたいイメージを思い出しながら、最適な角度を見つけましょう。

眉全体のフレームが描けたら、中の隙間を埋めていきます。特に、眉の中央から眉尻にかけては、毛が薄くなりがちな部分。ここに、ペンシルを使って毛流れに沿って、一本一本、本物の毛を描くように線を足していきます。チョンチョンと、短いストロークで描くのがポイントです。

足りない部分に毛を描き足す

眉頭は絶対に描きすぎない!
最も重要な注意点です。眉頭までペンシルでくっきりと描いてしまうと、途端に「描きました感」が満載の、不自然な眉になってしまいます。眉頭は、最後にパウダーをふんわりのせる程度で十分。ペンシルで描くのは、眉の中央から眉尻まで、と覚えておきましょう。もし、どうしても眉頭の毛が足りない場合は、本当に数本、下から上に向かって描き足す程度に留めてください。

ペンシルで描いた直後は、少しラインがくっきりしすぎているかもしれません。その場合は、スクリューブラシで優しくぼかしてあげると、肌に馴染んでより自然な仕上がりになります。ペンシルを制する者は、眉メイクを制す。まずは、力を抜いて、一本の線を綺麗に引く練習から始めてみてください。

6. 不要な毛の正しい処理方法

ペンシルで理想のガイドラインが描けたら、いよいよ最終的な「形作り」の工程です。ガイドラインからはみ出している、余分なうぶ毛やムダ毛を処理していきましょう。この工程を丁寧に行うことで、眉の輪郭がくっきりと際立ち、一気に清潔感と洗練された印象がアップします。

ここで使うのは、フェイスシェーバーと毛抜きの二刀流。それぞれの特性を理解し、正しく使い分けることが、肌への負担を最小限に抑え、失敗を防ぐ鍵となります。

フェイスシェーバーの正しい使い方

シェーバーは、広範囲のうぶ毛を処理し、眉の輪郭を整えるのに最適です。

  1. 処理する前に肌を保湿する
    肌が乾燥した状態でシェーバーを当てると、肌表面の角質まで削り取ってしまい、肌荒れの原因になります。処理を始める前に、乳液やクリームを薄く塗っておきましょう。ただし、つけすぎると刃が滑って危険なので、あくまで薄く、がポイントです。
  2. 毛流れに沿って、優しく剃る
    シェーバーは、毛が生えている方向(毛流れ)に沿って動かすのが基本です。逆剃りすると、毛穴を傷つけたり、埋没毛の原因になったりします。皮膚を傷つけないよう、肌に強く押し付けず、優しく滑らせるように使いましょう。
  3. 皮膚を軽く引っ張りながら剃る
    眉の下やまぶたの上など、皮膚が柔らかい部分を処理する際は、空いている方の手で皮膚を軽くピンと張るように引っ張ってあげると、凹凸がなくなって安全に、そして綺麗に剃ることができます。

毛抜きの正しい使い方

毛抜きは、シェーバーで剃りきれない、太くて目立つ毛をピンポイントで処理する場合にのみ使用します。

  1. 肌を温めて毛穴を開く
    処理の前に蒸しタオルなどで肌を温めておくと、毛穴が開いて毛が抜けやすくなり、痛みや肌への負担を軽減できます。
  2. 毛の根元をしっかり掴む
    毛抜きで毛の先端だけを掴んで引っ張ると、途中で切れてしまったり、毛穴を傷つけたりする原因になります。できるだけ皮膚に近い、毛の根元をしっかりと掴みましょう。
  3. 毛流れの方向に沿って、一気に抜く
    抜く時は、毛が生えている方向に沿って、躊躇せずスッと一気に引き抜きます。垂直に引っ張ると、毛穴にダメージを与えてしまうので注意してください。

処理における最大の注意点

それは、ガイドラインの内側にある毛は、絶対に抜いたり剃ったりしないことです。たとえ、その毛が少し長くても、濃くても、ラインの内側にある毛はあなたの眉を構成する大切な一部です。一度抜いてしまうと、二度と生えてこない可能性もあります。「これは不要かな?」と迷ったら、必ず残すようにしてください。処理するのは、あくまでガイドラインから完全にはみ出た毛だけです。

処理が終わったら、冷たい化粧水や保湿ジェルで、肌を優しくクールダウンさせてあげましょう。この丁寧なケアが、美しい眉を維持するための土台となります。

※関連記事:初めてのアイブロウワックスで失敗しない!プロが教える効果・値段・痛みの全知識

7. パウダーで自然な立体感を出す

ペンシルで眉の骨格を作り、不要な毛を処理して輪郭が整いました。しかし、このままではまだ完成ではありません。ペンシルだけで仕上げた眉は、どこか平面的で、「描いた感」が残ってしまいがちです。ここに、ふんわりとした生命感と、自然な立体感を吹き込む魔法のアイテム。それが、アイブロウパウダーです。

パウダーの役割は、眉毛の隙間を優しく埋め、美しい色のグラデーションを作ること。これにより、まるで元から眉がフサフサであるかのような、ナチュラルな仕上がりを実現できます。

多くのアイブロウパウダーは、濃淡の異なる2〜3色がセットされたパレットになっています。この色の違いを使い分けるのが、プロ級の立体感を生み出す最大のポイントです。

  1. 付属のブラシにパウダーを取る
    まずは、パレットの中で中間色と濃い色を、付属のブラシに混ぜながら取ります。一気にたくさん取ると、濃くつきすぎてしまうので、少しずつ、ブラシに含ませるのがコツです。一度、ティッシュや手の甲で余分な粉を払ってから乗せると、失敗が少なくなります。
  2. 眉の中央から眉尻に向かって色を乗せる
    パウダーを乗せ始めるのは、眉の中で最も色が濃くなるべき、眉山から眉尻にかけての部分です。ブラシを左右に細かく動かしながら、ペンシルで描いたラインの隙間を埋めていくイメージで色を乗せていきます。
  3. 眉の中央部分に色を足す
    次に、眉の中央部分(眉頭と眉山の間)に色を乗せます。ここは眉尻ほど濃くならないように、ブラシに残ったパウダーで、ふんわりと色を足す程度で十分です。
  4. 眉頭は、一番薄い色を「置く」だけ
    ここが最も重要です。眉頭には、パレットの中で一番明るい色(ライトカラー)を、ほんの少しだけ使います。ブラシを立てるようにして、ポンポンと色を置くような感覚で、優しく乗せましょう。眉頭が濃いと、途端に不自然な「への字眉」になってしまいます。鼻筋に向かって、少しぼかすようにすると、ノーズシャドウのような効果も生まれて、顔に立体感が生まれます。

色のグラデーションを意識する

理想的なのは、眉頭が最も薄く、眉の中央から眉尻にかけて徐々に濃くなっていくグラデーションです。この色の濃淡が、眉に奥行きを与え、表情を豊かに見せてくれます。

私がクライアントにメイクをする際も、このパウダーでのグラデーション作りには最も時間をかけます。ペンシルで完璧な形を描くことよりも、パウダーでいかに自然な陰影を作るかの方が、垢抜けた印象を左右すると感じているからです。

もし、パウダーを乗せすぎてしまったら、慌てずにスクリューブラシでぼかしましょう。ブラシで優しくとかすだけで、余分なパウダーが取れて、ふんわりと肌に馴染んでくれます。パウダーを使いこなせば、あなたの眉メイクは一気に上級者のレベルへと進化するはずです。

※関連記事:【顔型診断】あなたに似合うアイブロウデザインの見つけ方|黄金比で美人度アップ

8. 眉マスカラで毛流れを整える

さて、いよいよ仕上げの工程です。ペンシルで形を描き、パウダーで立体感を出した眉に、最後の魔法をかけるのが「眉マスカラ」。この一手間を加えるか加えないかで、眉の完成度は劇的に変わります。

眉マスカラの役割は、大きく分けて3つあります。

眉毛の色を変える

髪を明るい色に染めているのに、眉だけが黒々としていると、どこか野暮ったく、垢抜けない印象になってしまいます。眉マスカラで髪色に合わせたカラーリングをすることで、顔全体の統一感が生まれ、一気に洗練された雰囲気になります。選ぶ色は、髪色と同じか、ワントーン明るい色を選ぶのがおすすめです。

毛流れを整え、キープする

眉毛にも「クセ」があり、時間が経つと毛がバラバラの方向を向いてしまうことがあります。眉マスカラを使うことで、眉頭は上向きに、眉尻は斜め下向きに、といった理想の毛流れをしっかりとキープし、一日中美しい形を保つことができます。

眉毛一本一本を際立たせ、立体感を出す

パウダーだけでは表現しきれない、毛の一本一本の存在感を際立たせることができます。これにより、眉がより立体的で、生き生きとした印象になります。

失敗しない眉マスカラの塗り方

眉マスカラでよくある失敗が、ベタっと地肌についてしまったり、ダマになってしまったりすること。そうならないための、簡単なコツを紹介します。

  1. ブラシをティッシュオフする
    容器から出したばかりのブラシには、液がたっぷりとついています。そのまま塗ると、地肌につく原因に。塗る前に必ず、ブラシをティッシュペーパーで軽く拭い、余分な液をオフしましょう。
  2. 毛流れに逆らって塗る
    まずは、眉尻から眉頭に向かって、毛の流れに逆らうようにブラシを動かします。こうすることで、眉毛の根元から、裏側までもしっかりとカラーリングすることができます。
  3. 毛流れに沿って整える
    次に、眉頭から眉尻に向かって、今度は毛の流れに沿うようにブラシを動かし、形を整えます。眉頭は、下から上へ、毛を立ち上げるように塗ると、立体感が出て若々しい印象になります。

もし、地肌についてしまった場合は、乾いてから綿棒で優しくこすると、ポロポロと綺麗に取れるので、慌てずに対応しましょう。

眉マスカラは、いわば眉メイクの「トップコート」のような存在。せっかく綺麗に描いた眉を、より美しく、より長持ちさせてくれる、頼れるフィニッシャーです。この最後の仕上げで、あなたのアイブロウデザインは完璧なものとなるでしょう。

9. やりがちなNGアイブロウデザイン

ここまで、垢抜け眉を作るための正しいステップを解説してきました。しかし、時には「良かれと思ってやっていたことが、実はNGだった」ということもあります。ここでは、街でよく見かけてしまう、少し残念な「やりがちNGアイブロウデザイン」をいくつか紹介します。自分の眉がこうなっていないか、こっそりチェックしてみてください。

  • 眉頭くっきり!「サインペン眉」
    眉頭から眉尻まで、同じ濃さでくっきりと描かれた眉。まるで、サインペンで縁取ったかのような強い印象を与え、非常に不自然に見えてしまいます。特に、眉頭を四角く囲むように描いてしまうのは絶対NG。垢抜け眉の鉄則は、「眉頭は薄く、ふんわりと」。眉頭はパウダーでぼかす、を合言葉にしましょう。
  • 角度が急すぎる!「カモメ眉」
    眉山の角度が急すぎて、まるでカモメが飛んでいるかのような形になってしまっている眉。キリッとした印象を通り越して、常に怒っているかのような、キツイ表情に見えてしまいます。眉山は、あなたの骨格に沿った、なだらかなカーブを描くのが基本。黄金比を意識し、眉全体の2/3の位置に、優しく頂点を作ることを心がけましょう。
  • 眉尻が長すぎ!「困り眉」
    黄金比を無視して、眉尻をダラリと長く描きすぎてしまっているパターン。顔の重心が下がって見え、疲れた印象や、少し古風な印象を与えてしまいます。眉尻の終点は、あくまで「小鼻と目尻を結んだ延長線上」。これより長く描く必要はありません。シャープな眉尻は、顔全体をリフトアップして見せる効果があります。
  • 細すぎる!「バブル期の糸眉」
    お手入れのしすぎで、眉が細い一本の線のようになってしまっている状態。細すぎる眉は、顔が大きく見えてしまうだけでなく、少し時代遅れな印象を与えてしまうことも。現在のトレンドは、自眉を活かした、ある程度の太さがあるナチュラルな眉です。抜いたり剃ったりする前に、本当にその毛が不要なのか、一度立ち止まって考える勇気を持ちましょう。
  • 色が合っていない!「眉だけ浮いてる問題」
    髪色や肌色と、眉の色が全く合っていないパターン。例えば、明るい金髪なのに眉だけが真っ黒だと、眉の存在感が悪目立ちしてしまいます。逆に、暗い髪色なのに眉だけが明るすぎても、顔の印象がぼやけてしまいます。アイブロウアイテムの色選びは、髪色よりワントーン明るめを基本に。眉マスカラをうまく活用して、全体のトーンを合わせることが重要です。

これらのNG例は、ほんの少し意識を変えるだけで、誰でも簡単に避けることができます。もし、一つでも当てはまってしまったとしても、落ち込む必要はありません。それは、あなたがもっと素敵になれる「伸びしろ」があるという証拠。明日からのメイクで、少しだけ修正を加えてみてください。

10. 左右対称に仕上げるコツ

セルフアイブロウにおける、永遠のテーマにして最大の難関。それが、「左右対称にならない問題」です。鏡を見て、「右は上手く描けたのに、左がなんだか違う…」と、何度も描いては消してを繰り返し、気づけば眉だけが濃くなってしまった、なんて経験は誰にでもあるはずです。

ここで、まずあなたにお伝えしたい、最も重要なことがあります。

それは、「人間の顔は、そもそも完璧な左右対称ではない」ということです。

骨格の歪み、筋肉のつき方、目の大きさなど、私たちの顔は微妙な左右差があって当たり前。だからこそ、眉も1ミリの狂いもなく完璧に左右対称にしようとすると、かえって不自然に見えたり、ドツボにハマったりしてしまうのです。

プロのメイクアップアーティストでさえ、定規で測ったような完璧な対称を目指しているわけではありません。目指すべきは、全体のバランスが取れた「なんとなく対称に見える」眉なのです。その「いい感じの対称」を作るための、実践的なコツをいくつか紹介します。

  1. 得意な方(利き手側)から描く
    多くの人には、描きやすい方の眉と、描きにくい方の眉があるはずです。まずは、あなたが最も描きやすいと感じる方の眉を、黄金比に沿って丁寧に仕上げてしまいましょう。そして、もう片方は、その完成した眉の「高さ」と「長さ」に合わせて描いていくのです。これが、左右のバランスを合わせる上で、最も簡単な方法です。
  2. ポイントを置いてから線でつなぐ
    描きにくい方の眉は、いきなりラインを引こうとするとズレやすいものです。そこで、まずは完成した方の眉を参考に、「眉頭」「眉山」「眉尻」の3つのポイントの位置を、アイライナーなどで小さく印をつけます。そして、その3つの点を、後からペンシルで優しくつないでいくのです。こうすることで、大きな形のズレを防ぐことができます。
  3. 鏡を離して、全体のバランスを見る
    一点に集中して描いていると、左右の差に気づきにくくなります。一つの工程が終わるごとに、一度鏡から顔を離し、少し遠くから顔全体を見て、左右のバランスを確認する癖をつけましょう。手鏡だけでなく、少し離れた場所に置いた大きな鏡でチェックするのがおすすめです。左右の眉だけを見るのではなく、目や鼻、口とのバランス、顔全体の中での眉のバランスを客観的に見ることができます。
  4. スクリューブラシとコンシーラーを駆使する
    多少のズレは、メイクの力で修正できます。少し形が違ってしまったら、スクリューブラシでぼかして馴染ませる。それでも気になる部分は、コンシーラーを細いブラシに取り、はみ出た部分を消すように修正すると、まるでプロが仕上げたかのように、くっきりとした美しいラインが作れます。

完璧を目指さない。これが、左右対称の眉をストレスなく仕上げるための、一番の近道です。少しぐらい違っていても、それがあなたの個性であり、魅力の一部。自信を持って、あなただけのバランスを見つけていってください。

※関連記事:自分に似合う眉毛がわかる!アイブロウの黄金比とデザインの見つけ方

眉は自信をくれる、最強のアクセサリー

ここまで、セルフでできる垢抜けアイブロウデザインの作り方を、基本の道具選びから具体的なテクニックまで、順を追って解説してきました。もしかしたら、工程が多くて少し難しく感じた部分もあったかもしれません。しかし、大切なのは、これら全てを一度に完璧にマスターすることではありません。

日の丸構図のように、まずは基本の黄金比を意識してみる。あるいは、NGデザインにならないように、眉頭を描きすぎないことだけを気をつけてみる。そんな小さな一歩からで、全く構わないのです。

眉を整えるという行為は、単に見た目を美しくするだけではない、と私は感じています。自分の顔とじっくり向き合い、自分の手でコンプレックスを魅力に変えていく。そのプロセスは、自分自身を大切にし、慈しむ時間そのものです。眉が綺麗に描けた日は、なんだか少しだけ背筋が伸びて、誰かに会いたくなる。そんな風に、心まで上向きにしてくれる不思議な力があります。

今回お伝えしたテクニックは、一度身につけてしまえば、あなたの生涯のスキルとなります。流行が少し変わったとしても、基本さえ押さえていれば、いくらでも応用が効くからです。

高価なアクセサリーを身につけなくても、眉という顔の「額縁」を整えるだけで、あなたの本来の魅力は何倍にも輝き始めます。もう、「なんとなく」で眉を描くのは終わりにしましょう。今日から鏡を見るのが、そしてメイクをするのが、ほんの少しでも楽しみになる。この記事が、そのきっかけとなれたなら、これ以上に嬉しいことはありません。

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