「眉毛がうまく描けない。毎日、左右非対称になってしまう」 「なんだか“海苔”を貼り付けたみたいに不自然になる…」 「そもそも、道具が多すぎて何から手をつけていいか分からない」
眉は顔の印象を8割決めると言われるほど、非常に重要なパーツです。それゆえに、メイクの中で最も苦手意識を持っている人は少なくありません。
私自身人前に出る仕事も多い中で、最初は眉メイクに本当に苦労しました。流行の平行眉を試しては失敗し、細くしすぎては後悔し、気づけば「今日の眉、変じゃないかな…」と、人の目ばかり気にしていました。
しかし、多くの失敗を経て分かったことがあります。 眉メイクは、決してセンスや才能だけで決まるものではありません。誰でも必ず再現できる「基本的なルール」と「道具の正しい使い方」さえ知れば、驚くほど簡単に見違えるのです。
トレンドの形を追いかける以前に、まずは自分の顔に合った、一生使える「眉メイクの基本」を知ることが、苦手意識を克服する何よりの近道です。
ここでは、トレンドを追う前に絶対に知っておくべき、眉メイクの土台となる基本を徹底的に解説します。アイテムの選び方というスタートラインから、黄金比の測り方、そして「描きました感」をなくす自然なテクニックまで。明日からあなたの眉を変えるための、確実なステップを見ていきましょう。
1. まず揃えるべき基本の眉メイクアイテム
「眉メイクを始めよう!」と決意してコスメショップに行くと、そのアイテムの多さに圧倒されてしまいますよね。ペンシル、パウダー、リキッド、マスカラ、コンシーラー…。
初心者がこれらすべてを使いこなそうとすると、情報過多で挫折してしまいます。 まずは、ナチュラルな眉を作るために最低限必要な「三種の神器」だけを揃えましょう。
- アイブロウペンシル
眉の「設計図」を描くためのアイテムです。
役割: 眉毛の輪郭(特に眉尻)をシャープに決めたり、毛がまばらで足りない部分に「毛」を1本1本描き足したりするために使います。 - アイブロウパウダー
眉に「立体感」と「柔らかさ」を与えるアイテムです。
役割: 眉全体にふんわりと色を乗せ、濃淡のグラデーションを作ります。ペンシルで描いたラインをぼかして、肌に馴染ませる役割も果たします。 - スクリューブラシ
眉メイクの「仕上げ」と「調整」を担う、最重要アイテムです。
役割: 描いたラインをぼかしたり、毛流れを整えたりするために使います。これがなければ、ナチュラルな眉は作れないと言っても過言ではありません。
「ペンシルだけで描いてはいけないの?」と疑問に思うかもしれません。 ペンシルだけで仕上げると、輪郭がくっきりしすぎてしまい、まさに「海苔」や「イモト」のような、ベタッとした不自然な眉になりがちです。 逆に、パウダーだけでは、眉尻のシャープなラインが描けず、全体がぼんやりとした印象になってしまいます。
「ペンシル(線)で骨格を作り、パウダー(面)で肉付けし、ブラシで馴染ませる」 この3つの役割分担こそが、自然な眉への第一歩です。
最近は、ペンシルとスクリューブラシが一体型になっているものも多く、非常に便利です。まずはこの3点があれば、基本的な眉は必ず完成できます。
さらに完成度を高めるアイテム
基本の3点に慣れてきたら、以下のアイテムをプラスすると、さらに完成度が高まります。
- 眉マスカラ(アイブロウマスカラ)
- 役割: 眉毛そのものの「色」を変えたり、「毛流れ」を固定したりします。
- 特に有効な人: 髪色を明るく染めている人(地毛の黒さが目立つため)、眉毛が濃く・太く・主張が激しい人(色を和らげ、印象を軽くするため)。
- アイブロウコンシーラー
- 役割: 眉の輪郭の「外側」に使います。
- 剃り跡の青みを消したり、描いた眉のラインを際立たせたりすることで、一気にプロが仕上げたような洗練された眉になります。
関連記事はこちら:初心者でも簡単!明日からできる垢抜けアイブロウメイクの基本ステップ
2. ペンシル・パウダー・マスカラの特徴と選び方
道具選びは、眉メイクの成功を左右する最初の、そして最も重要な関門です。 「なんとなく安かったから」「人気No.1と書いてあったから」という理由で選ぶと、あなたの肌色や髪色、描きたい眉のイメージに合わず、失敗の原因となります。それぞれの特徴を深く理解し、自分に合った「武器」を選びましょう。
アイブロウペンシルの特徴と選び方
ペンシルは眉の「設計図」を担うため、ここで間違うとすべてが崩れます。
- 役割: 眉の輪郭(アウトライン)の確定、眉尻のシャープなライン作り、毛が足りない部分への精密な描き足し。
芯の形状
ペンシルの芯には、大きく分けて2つの形状があります。
- 円芯タイプ(細芯):
鉛筆のように先端が細いタイプ。最大のメリットは、毛を1本1本リアルに描くのに適していることです。眉毛がまばらな人、繊細な眉尻を作りたい人に向いています。ただし、描くときに力の強弱(筆圧)のコントロールが少し必要で、初心者が強く描きすぎると細くクッキリしすぎることもあります。 - なぎなた芯(楕円芯)タイプ:
刀の「なぎなた」のような、平たい楕円形の芯。これが初心者には非常におすすめです。なぜなら、芯の向きを変えるだけで「線」と「面」を描き分けられるからです。- 芯を立てて「細い面」を使えば、眉尻のシャープな線が描けます。
- 芯を寝かせて「太い面」を使えば、眉の中央をふんわりと埋めることができます。
- テクスチャ(硬さ)で選ぶ:
初心者の場合、芯が柔らかすぎるクレヨンのようなタイプは避けたほうが無難です。
色がベタッとつきやすく、一度失敗すると修正が非常に難しくなります。
最初は、少し硬めで、薄く色が乗る(何度も往復させて濃さを調整できる)タイプのほうが、圧倒的に失敗しにくいでしょう。
色の選び方(最重要)
ここで多くの人が、致命的な間違いを犯します。
- NG: 髪色と「まったく同じ色」を選ぶこと。
特に、黒髪の人が「ブラック(黒)」を選ぶのは絶対にNGです。
黒はすべての光を吸収するため、肌の上で極端に浮いてしまい、不自然でキツイ印象にしかなりません。
- 基本ルール(A): 自分の「瞳の色(虹彩)」に合わせる。
- 基本ルール(B): 自分の「髪色よりもワントーン明るい」色を選ぶ。
このどちらかを守ると、肌色から浮くことなく、自然に馴染みます。
- 黒髪・暗髪の人: 迷わず「グレー」または「ダークブラウン(焦げ茶色)」を選んでください。
- 明るい茶髪の人: 「ライトブラウン」や「アッシュブラウン」など、髪色に合わせたブラウン系。
- 赤みのある髪色の人: 「ピンクブラウン」や「ボルドー系」のパウダーを少し混ぜると、一気に統一感が出ます。
私自身、メイクを始めたばかりの頃、黒髪だからと安易に「ブラック」のペンシルを買い、海苔を張り付けたような眉になった苦い経験があります。色が強すぎると、ぼかしても修正が効かないのです。「グレー」に変えた瞬間に、すべてが解決しました。
アイブロウパウダーの特徴と選び方
パウダーは、眉に「ふんわりとした立体感」を与えるために使います。
- 役割: 眉全体に色を乗せ、濃淡のグラデーションを作る。ペンシルで描いた硬いラインをぼかし、柔らかい印象に仕上げる。
ほとんどが、濃淡の異なる2〜3色がセットになったパレットタイプです。単色のパウダーは絶対に選ばないでください。 この「色の差」こそが、自然なグラデーションを作るための鍵になります。
- 濃い色: 眉の中央〜眉尻に使います。
- 中間色: 眉全体にふんわりと乗せるベースの色。
- 薄い色: 眉頭や、鼻筋へのノーズシャドウとして使います。
色の選び方:
基本はペンシルと同じ考え方です。ペンシルで「グレー」を選んだなら「グレーブラウン系」のパウダー、ペンシルで「ブラウン」を選んだなら「ブラウン系」のパウダー、というように、ペンシルとパウダーの色味の系統(赤み系、黄み系、アッシュ系)を合わせると、統一感が出て失敗しません。
眉マスカラの特徴と選び方
眉マスカラは、描いた眉を「平面(2D)」から「立体(3D)」に引き上げる、プロの仕上げには欠かせないアイテムです。
- 役割:
- カラーリング: 眉毛そのものの色を変える。
- セット: 毛流れを整えて、一日中キープする。
- なぜ必要か: 地毛が真っ黒で濃い人が、どれだけ明るいパウダーやペンシルで肌に色を乗せても、地毛の「黒い毛」が浮いてしまい、ちぐはぐな印象になります。眉マスカラで地毛の色をトーンアップさせることで、初めて肌に描いた色と地毛の色が馴染み、一体感が生まれます。
- 色の選び方:
- 髪色を明るく染めている人: 必須アイテムです。その髪色に合わせた「カラータイプ」を選びます。
- 印象を柔らかくしたい黒髪の人: 「アッシュブラウン」や「ダークブラウン」など、地毛より少しだけ明るい色を選ぶと、眉の存在感が和らぎ、一気に垢抜けます。
- 毛流れだけ整えたい黒髪の人: 色のつかない「クリア(透明)タイプ」が非常に便利です。毛流れを固定し、ツヤを出すだけで清潔感が格段にアップします。
- ブラシの形状: ブラシが大きすぎると、地肌にベチャッと液がつきやすくなります。特に眉毛が薄い人や細い人は、小回りの利く、小さめ・細めのブラシを選ぶのが初心者向けのコツです。

3. 描く前にやるべき下準備とは
多くの人が、洗顔後やお化粧水の直後、いきなり眉を描き始めて失敗します。 「色が乗らない」「滑ってしまう」「夕方には消えている」 その原因は、キャンバスとなる「肌」と「毛」の状態が整っていないからです。
美しい絵画も、下地処理が命ですよね。眉メイクも全く同じです。
1. 眉毛の毛流れを整える(ブラッシング)
- まずは、三種の神器の一つである「スクリューブラシ」を使い、眉毛の毛流れを整えます。
- 眉頭: 下から上に向かって、毛を立ち上げるようにとかします。
- 眉中央〜眉尻: 斜め上から、毛流れに沿って外側(こめかみ方向)に向かってとかします。
- 目的:
- 毛に付着したホコリや、ファンデーションの粉を払い落とします。
- そして何より、自分の眉毛の「本当の姿」を可視化するためです。
- これをすることで、どこに毛が密集していて(濃い部分)、どこが足りないのか(薄い部分)が一目瞭然になります。この「隙間」を把握することが、メイクの第一歩です。
2. 長すぎる毛をカットする(トリミング)
- ブラッシングした際、明らかに眉の輪郭(アウトライン)からピョンと飛び出す「長い毛」だけをカットします。
- 眉用の小さなコーム(クシ)を眉毛の下から(または上から)当て、コームからはみ出た部分だけを、眉用の小さなハサミで切ります。
- 注意点:
- この時、絶対に形自体をカットで作ろうとしないでください。これは上級者でも難しい技術です。初心者がやると、左右非対称になったり、穴が空いたり(肌が露出する)して、取り返しのつかないことになります。
- あくまで「長さ」の調整です。1本1本、慎重に行いましょう。自信がなければ、この工程は飛ばしても構いません。
3. 眉周りの肌を整える(皮脂オフ)
- これが発色と持ちを左右する、隠れた最重要ポイントです。
眉毛やその周りの肌に、スキンケアの油分(乳液やクリーム)や、自分の皮脂が残っていると、ペンシルやパウダーがその油分に弾かれて滑ってしまい、うまく色が乗りません。 - フェイスパウダー(おしろい)を少量パフやブラシに取り、眉毛の上、眉の上、眉の下、眉間を軽く押さえて、肌をサラサラの状態にしておきます。この一手間で、メイクの「発色」と「密着度(持ち)」が劇的に向上します。乾燥肌の人は軽く、脂性肌の人はしっかりめに押さえましょう。
4. 黄金比に沿った眉のガイドラインの取り方
左右対称で美しい眉が描けない最大の理由は、「自分の顔の骨格に合った正しい位置」を知らないまま、その日の感覚だけで描いているからです。
あなたの顔は、あなただけのものであり、その骨格に合った「黄金比(ゴールデンバランス)」が存在します。これは感覚ではなく「理論」です。
アイブロウペンシルや、メイクブラシの細い柄などを「定規」代わりに使い、自分の顔でガイドラインとなる3つのポイントを決めましょう。
1. 眉頭(まゆがしら)の位置
- 測り方: 小鼻のくぼみ(鼻のフチの最も膨らんだところ)の真上。
- ポイント:
- ここが眉のスタート地点です。
- ここより内側(鼻筋側)に入り込むと、眉間が狭くなり、気難しく、険しい印象になります。
- ここより外側に離れると、間延びした、ぼんやりとした印象になります。
- 自分の骨格(眉頭のすぐ下にある骨のくぼみ)を指で触りながら確認するのも良い方法です。
2. 眉山(まゆやま)の位置
- 測り方: 黒目の外側のフチの真上。(※真正面を向いた時)
- ポイント:
- 眉全体のアーチが最も高くなる、いわば「頂点」です。
- よくある間違いが「目尻の真上」で測ってしまうこと。これでは眉山が外側にズレすぎ、間延びした顔に見えてしまいます。
- この眉山の位置が、顔に立体感と表情(キリッとした、優しいなど)を与えます。
3. 眉尻(まゆじり)の位置
- 測り方: 小鼻と、目尻(目の外側の端)を結んだ直線の延長線上。
- ポイント:
- これが眉の終着点です。
- これより短すぎると、顔が大きく見えてしまいます。
- これより長すぎると、だらしなく老けた印象になります。
- 高さの絶対ルール:
- 眉尻の終わる位置は、「眉頭の始点よりも低くならない」ことが鉄則です。
- 眉尻が眉頭より下がると、一気に「困り眉」「下がり眉」になり、老けた印象や、自信がなさそうな印象を与えてしまいます。最低でも眉頭と同じ高さ、できれば少し高い位置で終えるのが理想です。
この3つのポイント(眉頭、眉山、眉尻)を、アイブロウペンシルで「点」として軽く印をつけます。この点を結ぶように描いていくことで、誰でもバランスの取れた眉の「設計図」が完成します。
関連記事:自分に似合う眉毛がわかる!アイブロウの黄金比とデザインの見つけ方
5. 自然なグラデーションを作る色の乗せ方
眉が不自然に見える最大の原因は、眉頭から眉尻までが同じ濃さで、ベタッと塗られていることです。まるでスタンプを押したかのように。
人間の自然な眉毛は、必ず毛の密度によって「濃淡のグラデーション」で構成されています。 基本ルールは、「眉頭は薄く、眉中央は濃く、眉尻はやや濃く」です。
このグラデーションを簡単に作るには、「描く順番」が鍵となります。
Step 1: 眉中央(最も濃い部分)から描き始める
- 意外かもしれませんが、いきなり眉頭や眉尻から描き始めると失敗します。
- 最も色が濃くなるべき「眉中央」(眉山の手前あたり)から描き始めます。
- アイブロウパウダーのパレットの中間色と濃い色をブラシで混ぜ取り、毛が最も密集しているこの部分に、ポンポンと色を置くように乗せます。
- ここが眉の「重心」となります。
Step 2: 眉尻に向かって描く
- 次に、ブラシに残ったパウダー、またはペンシルを使って、黄金比で決めた眉尻に向かって、輪郭をスッと描きます。
- 眉尻は、毛が薄くなりがちな部分なので、輪郭がややハッキリしていても大丈夫です。
Step 3: 眉頭をぼかす(最重要)
- ここがナチュラルに仕上げる最大のポイントです。
- ブラシに新しくパウダーを足さず、Step1で使ったブラシに残っている「残りカスのパウダー」だけを使います。(もし足りなければ、パレットの一番薄い色を少量だけ足します)
- 眉頭は「描く」というより、下から上に向かって「ぼかし込む」イメージで、ふんわりと色を乗せます。
- 眉頭の輪郭をくっきり取ってはいけません。
この「中央→眉尻→眉頭」という順番で描くだけで、濃い色が中央に集まり、末端に向かって薄くなる、意識しなくても自然なグラデーションが完成するのです。

6. 眉尻を消えずに綺麗に描くコツ
「朝は完璧だったのに、夕方になると、眉尻だけ消えている…」 「前髪が触れるせいか、すぐ薄くなる」 これは、メイク直しの時間が取れない多忙な人にとって、非常に深刻な悩みです。
眉尻は、眉の「品格」と「シャープさ」を決定づける重要な部分。ここが消えると、一気にだらしなく、ぼんやりとした印象になってしまいます。
1. 道具の選び方と使い分け
- 眉尻のように消えやすい部分は、パウダーだけでは限界があります。皮脂や摩擦に弱いからです。
- ペンシルタイプでベースのラインをしっかり描きましょう。
- その上からパウダーを軽く重ねると、ペンシルの油分がパウダーによってセットされ、密着度が高まります。
- それでも消えてしまう、という人には「リキッドアイブロウ(液体のペン)」が最強の武器です。リキッドは肌に染まるように定着するため、皮脂や汗に圧倒的に強いです。ペンシルで描く前に、リキッドで毛を1本1本描き足すように仕込んでおくのがプロの技です。
2. 描く前の準備(皮脂対策)
- 眉尻が消える最大の原因は「皮脂」と「摩擦」です。
- 描く前に、眉尻の肌をコットンで軽く拭き取るか、ティッシュオフします。
- その後、フェイスパウダーでしっかり押さえて、皮脂を徹底的に除去しておきます。
3. 仕上げのコーティング
- 描き終わった後、アイブロウコート(透明なトップコート液)を使います。
- 付属のハケで、眉尻のラインにだけ薄く重ねます。
- 注意点: 付けすぎるとノリのようにテカテカしてしまうので、ハケをボトルのフチでしっかりしごき、ごく少量を乗せるのがコツです。
- これにより、描いたラインが強力にコーティングされ、汗や皮脂、前髪の摩擦から鉄壁の守りを見せてくれます。
眉尻は「ふんわり」ではなく、「シャープに」「落ちないように」仕上げるのが正解です。
関連記事:自分に似合う眉毛がわかる!アイブロウの黄金比とデザインの見つけ方
7. 眉頭をふんわりぼかすテクニック
グラデーションの項目でも触れましたが、眉頭の処理はナチュラル眉の「命」であるため、さらに深掘りします。
「描きました感」が満載の、いわゆる「海苔」眉になってしまう人の多くは、眉頭の輪郭をハッキリと四角く描いてしまっています。
NG行動
- 眉頭の始点(黄金比で決めた点)を、ペンシルでくっきり四角く囲む。
- 眉頭をパウダーの濃い色で塗りつぶす。
- 眉頭の上下のラインが、定規で引いたようにクッキリしている。
OKテクニック(ぼかし方)
- テクニック1: スクリューブラシで徹底的にぼかす
- パウダーを乗せた後、何もついていない「スクリューブラシ」を使います。
- まず、眉頭の下のラインを、内側(鼻筋の方向)に向かって、優しくサッサッと払うようにぼかします。
- 次に、眉頭の毛を、真上に向かって立ち上げるようにとかし上げます。
- これだけで、描いたラインの角が取れ、肌に溶け込むような「影」に変わります。
- テクニック2: 指を使う
- もしパウダーを乗せすぎて「濃い!」と感じたら、自分の小指の腹を使います。
- 眉頭を、鼻筋に向かって軽くこするようにぼかします。
- 指の皮脂が程よくメイクを薄め、驚くほど自然な仕上がりにしてくれます。これは、私が時間がない朝によく使う裏技でもあります 。
- テクニック3: ノーズシャドウと繋げる
- パウダーパレットの一番薄い色を、眉頭のくぼみから鼻筋の側面にかけて、サッとひとはけ入れます。
- 眉頭の「始まり」と、鼻筋の「影」がシームレスに繋がることで、眉だけが浮くのを防ぎ、顔全体の立体感を演出できます。
眉頭は「毛の存在感」だけで十分です。色は「うっすら影があるかな?」程度で止めておく勇気が、何よりも大切です。
関連記事はこちら:【顔型診断】あなたに似合うアイブロウデザインの見つけ方|黄金比で美人度アップ
8. 眉マスカラで毛流れを整えて立体感を出す
さあ、ペンシルとパウダーで綺麗なグラデーションの眉が描けました。 しかし、まだ完成ではありません。その状態は、いわば「2D(平面)」の絵画です。
ここに「3D(立体)」の生命感を吹き込むのが、眉マスカラの役割です。
どんなに綺麗にグラデーションを作っても、地毛がボサボサと下を向いていたり、描いた色と地毛の色がバラバラだったりすると、眉は途端に不自然に見えます。
Step 1: ブラシの液をしっかり調整する
- 失敗の9割は「液の付けすぎ」です。
- ボトルから出したブラシを、そのまま眉に乗せてはいけません。
- まず、ボトルのフチで、ブラシについた余分な液をしっかりと、こそぎ落とします。
- それでも多い場合は、ティッシュで軽くオフします。
- 液がダマになっていると、地肌にベチャッとついてしまい、修正が非常に大変です。
Step 2: 毛流れに逆らって塗る(根元へのアプローチ)
- まず、眉尻から眉頭に向かって、毛流れに逆らうようにブラシを軽く動かします。
- 目的: これにより、眉毛の「裏側」と「根元」まで、しっかりと液を絡ませることができます。毛の表面だけを撫でても、動いたときに地毛の黒さが見えてしまいます。
Step 3: 毛流れを整えながら塗る(仕上げ)
- 次に、今度は毛流れに沿って、根元から毛先に向かってとかし上げ、毛流れを「セット」します。
- 眉頭は → 真上に(毛を立たせて、フレッシュな印象に)
- 眉中央は → 斜め上に
- 眉尻は → 斜め外側(横)に
- このように毛を立体的に立ち上げるようにセットすることで、毛一本一本に光が当たり、眉に自然なツヤと立体感が生まれます。
この一手間が、まるでプロが仕上げたような「生き生きとした」垢抜け眉を作ります。

9. 一日中落ちない眉メイクの裏技
特に湿気が多い梅雨の時期や、汗をかく夏場、スポーツをする日、前髪が常に眉に触れる人は、眉メイクがドロドロに崩れやすくなります。 「眉尻が消える」だけでなく、「眉全体が薄くなる」のを防ぐ、プロが実践する裏技を紹介します。
1. 「サンドイッチ」メソッド(最強の密着法)
- これは、異なるテクスチャのアイテムを「ミルフィーユ」のように重ねることで、密着度を極限まで高める方法です。
- Step1 (液体): リキッドアイブロウで、ベースとなる毛のない部分(特に眉尻)に薄く影を仕込みます。これが肌への「染料」となります。
- Step2 (油分): ペンシルで、輪郭と眉尻を決めます。これが「骨組み」です。
- Step3 (粉体): アイブロウパウダーを上からふんわりと重ねます。パウダーがペンシルの油分を吸着し、肌に「セット」します。(この時点で、リキッド+ペンシル+パウダーの3層になっています)
- Step4 (固定): 仕上げに眉マスカラで毛流れを固定し、毛そのものをコーティングします。
- ここまでやると、メイク直しがほぼ不要なほど強力な眉が完成します。
2. フェイスミスト(セッティングスプレー)の活用
- 全てのメイク(アイブロウ、アイメイク、ファンデーションなど)が完成した最後に、顔全体にメイクキープミスト(セッティングスプレー)を吹きかけます。
- 顔から20〜30cmほど離し、顔全体にふんわりとかかるようにします。
- 注意: ミストが乾くまでは、絶対に顔に触れないでください。
- ミストが蒸発する際に、ファンデーションやアイブロウパウダーといったメイクの粉体同士をピタッと肌に密着させ、崩れを防ぐ強力な膜を形成します。
3. ウォータープルーフタイプを選ぶ
- 根本的な話ですが、夏場やスポーツシーンでは、ペンシルや眉マスカラを「ウォータープルーフ(水に強い)」「スマッジプルーフ(皮脂に強い)」と表記されたものに変えるだけで、持ちは格段に良くなります。
10. 描きました感のないナチュラル眉の作り方
最後に、これまでの技術を踏まえ、「ナチュラル眉」「垢抜け眉」を作るための最も重要な哲学をまとめます。 「描きました感」が満載の不自然な眉になってしまうのは、以下の3つのどれか、あるいは複数が原因です。
- 色が濃すぎる(特に黒髪の人が黒を使っている)
- 輪郭がハッキリしすぎている(特に眉頭が四角い)
- 毛流れがなく、のっぺりしている(立体感ゼロ)
これを解決するためには、あなたの「意識」を変える必要があります。
- 「描く」のではなく「埋める・補う」
- ナチュラル眉の基本は「自眉活かし」です。あなたの眉毛をゼロから「創造する」のではありません。あなたの骨格に沿って生えている毛流れを「活かす」のです。
- スクリューブラシでとかした後、明らかに毛が足りない「隙間」や「色ムラ」だけを、ペンシルやパウダーで埋める(補う)という意識を持ちます。
- 「線」ではなく「影」を作る
- 特に眉頭や眉の下のラインは、ペンシルで「線」を描くと、その瞬間に不自然になります。
- パウダーを使い、そこに「影」が落ちているかのように、ふんわりと色を乗せるのがコツです。
- 「平面」ではなく「立体」を意識する
- ナチュラルな眉とは、「形」が整っていること以上に、「毛」が生き生きと立体的に見えている状態を指します。
- 仕上げのスクリューブラシでのぼかしと、眉マスカラでの毛の立ち上げ(特に眉頭!)を、絶対に省略しないでください。この2ステップが、眉に命を吹き込みます。
自分の眉毛をよく観察し、足りない部分だけを最小限に補う。それが、究極のナチュラル眉への一番の近道です。
参考ページ:初心者でも簡単!セルフでできる垢抜けアイブロウデザインの作り方
「苦手」は「基本」を知らないだけ。明日から自信の持てる眉へ
眉メイクが「苦手」と感じるのは、決してあなたが不器用だからでも、センスがないからでもありません。 それは単に、自分の顔に合った「基本のルール」と「正しい道具の使い方」を知らなかっただけなのです。
高価なアイテムも、毎日時間をかける必要もありません。
「黄金比」という設計図を測り、自分の髪色に合った「道具」を選び、「グラデーション」と「ぼかし」、そして「毛流れ」を意識する。
たったこれだけのルールを守るだけで、あなたの眉は必ず変わります。
鏡を見て「今日の眉、うまくいったな」と思える日は、それだけで気分が上がり、自信を持って一日を過ごせるはずです。ぜひ、明日からのメイクで、この基本のステップを一つずつ試してみてください。
