「自分に本当に似合う眉って、一体どんな形なんだろう…」「雑誌で流行りの眉を真似してみたけど、なんだか自分の顔にしっくりこない」。眉メイクをするたびに、そんな風に鏡の前で首をかしげた経験はありませんか?多くの方が、自分に似合う眉の「正解」がわからず、長年同じ形のままだったり、なんとなくで描いてしまったりと、「眉メイク迷子」に陥っています。
何を隠そう、私自身もこの仕事を始める前は、典型的な眉メイク迷子の一人でした。ただ流行っているという理由だけで太めの平行眉に挑戦しては、顔全体がのっぺりと見えてしまい、「何かが違う…」と落ち込んだことも一度や二度ではありません。
その「何かが違う」の正体こそが、あなたの「顔型」と眉デザインのミスマッチにあります。眉は、顔の印象を自在に操ることができる、魔法のようなパーツ。自分の顔型を正しく理解し、その特徴を活かす眉デザインを知るだけで、あなたの魅力は驚くほど開花します。それはまるで、自分にぴったりの服を見つけた時のような、感動的な体験です。
これから、ご自身の顔型をセルフチェックする方法から、それぞれの顔型に合わせた具体的なアイブロウデザイン、さらには骨格レベルで似合わせるプロの理論まで、徹底的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたはもう眉メイクに迷うことはありません。
1.なぜ顔型に合わせた眉デザインが重要なのか
そもそも、なぜそれほどまでに顔型と眉のバランスが重要視されるのでしょうか。それは、眉が顔のパーツの中で、唯一「顔のバランスを補正する」という、極めて重要な役割を担っているからです。
考えてみてください。目や鼻の形をメイクだけで大きく変えるのは至難の業です。しかし、眉は長さ、太さ、角度、カーブの付け方などを変えることで、顔の縦と横の比率を調整したり、フェイスラインの印象を和らげたりと、まるで彫刻家が粘土を扱うように、顔の印象を理想のバランスへと近づけることができるのです。
眉は、顔の輪郭というフレームの中で、全体の調和を司る「アートディレクター」のような存在と言えるでしょう。
このアートディレクターが、顔型の特徴を無視してデザインを決めてしまうと、どうなるでしょうか。
- 丸顔の方が、フェイスラインと同じような丸いアーチ眉にすると、顔の丸さがより一層強調されてしまいます。
- 面長の方が、角度の急な上がり眉にすると、縦のラインがさらに強調され、顔がもっと長く見えてしまいかねません。
- エラが張ったベース顔の方が、直線的な眉にすると、フェイスラインの角張った印象を際立たせてしまいます。
このように、顔型の持つ特徴と眉の形が同調してしまうと、その特徴は「チャームポイント」ではなく「コンプレックス」として悪目立ちしてしまう危険性があるのです。
私がまだ駆け出しだった頃、お客様の「なりたい」というイメージばかりを優先し、その方の持つシャープなフェイスラインに、あえて柔らかな平行眉をデザインしたことがありました。仕上がり自体は綺麗だったのですが、どこかその方の持つ凛とした魅力が半減してしまったように感じ、お客様も「見慣れないからか、なんだかぼやけて見える…」と不安そうな表情に。この経験から、顔型という土台を理解し、その上でなりたいイメージを融合させることの重要性を痛感しました。
あなたの顔型に合わせた眉デザインを知ることは、コンプレックスをカバーするためだけの、守りのテクニックではありません。それは、あなたの個性を最も美しく輝かせ、理想の自分を演出するための、最も戦略的でパワフルな「攻め」のテクニックなのです。
2.自分の顔型を簡単セルフチェック
「自分に似合う眉を知るには、まず顔型から」と分かっても、そもそも自分の顔がどのタイプなのか、正確に把握している方は意外と少ないものです。「丸顔だと思っていたけど、人からは面長と言われた…」なんてこともよくありますよね。
専門のサロンで診断してもらうのが一番確実ですが、わざわざ出かけなくても、スマートフォン一つで簡単にセルフチェックできる方法があります。定規やメジャーは必要ありません。さっそく、試してみましょう。
- 正面の顔写真を撮る
前髪はピンで留めるか、カチューシャなどですっきりと上げ、おでこ全体が見えるようにします。そして、真顔の状態で、顔が真正面から写るように撮影します。この時、上や下から撮ると輪郭が変わってしまうので、カメラは必ず顔の正面に構えてください。 - 写真で顔の比率を確認する
撮影した写真を見ながら、以下の3つのポイントをチェックします。スマートフォンの編集機能で線を描き込んでみると、より分かりやすくなりますよ。- ポイント① 顔の縦と横の長さの比率
髪の生え際から顎の先までの「縦の長さ」と、顔の一番広い部分の「横幅」を比べます。 - ポイント② フェイスラインの形
頬から顎にかけてのラインが、丸みを帯びているか、直線的か、シャープかを観察します。 - ポイント③ 各パーツの位置
おでこの広さ、エラの張り具合、頬骨の位置、顎の形などを総合的に見ていきます。
- ポイント① 顔の縦と横の長さの比率
- 4つのタイプから診断する
上記で確認した特徴を基に、自分の顔がどのタイプに最も近いか診断します。- 丸顔タイプ
・顔の縦と横の長さが、ほぼ1:1。
・フェイスラインに丸みがあり、骨っぽさが少ない。
・ふっくらとした頬で、優しく可愛らしい印象。 - 面長タイプ
・顔の横幅に比べて、縦の長さが明らかに長い。
・頬やフェイスラインはすっきりしていることが多い。
・大人っぽく、落ち着いた知的な印象。 - ベース顔(エラ張り)タイプ
・顔の横幅が広く、特にエラの部分が張っている。
・フェイスラインが直線的で、顎は平らかやや角張っている。
・意志が強く、しっかりとしたクールな印象。 - 逆三角顔タイプ
・おでこやハチ周りの横幅が広く、顎に向かってラインが細くなる。
・顎がシャープで、頬骨がやや高め。
・都会的で、スタイリッシュな印象。
- 丸顔タイプ
いかがでしたか?もちろん、多くの人はこれらの要素を複数持ち合わせています。「卵型」は理想の顔型と言われますが、それに完全に当てはまる人は稀です。自分の顔の「最も際立っている特徴」は何か、という視点でタイプ分けするのが、似合う眉を見つけるためのコツです。自分の顔型を客観的に知ることで、あなたの眉デザインの方向性が明確になるはずです。
3.丸顔さんにおすすめのシャープなアイブロウデザイン
【丸顔さんの特徴と魅力】
フェイスラインに丸みがあり、頬がふっくらとしている丸顔さんは、親しみやすく、若々しく見えるのが最大の魅力です。優しく、可愛らしい印象を持たれることが多いでしょう。一方で、「顔が大きく見えがち」「子供っぽく見られてしまう」といったお悩みを抱えている方も少なくありません。
【デザインのゴール】
丸顔さんの眉デザインのゴールは、丸いフェイスラインの中に「シャープさ」と「縦のライン」をプラスして、顔全体をすっきりと見せ、大人っぽい印象に近づけることです。
【おすすめのアイブロウデザイン】
- 形:眉山をしっかり作る「アーチ眉」または「上昇眉」
丸顔さんが最も避けたいのは、フェイスラインと同じような丸みのある眉。眉にも曲線をつけてしまうと、顔の丸さがより一層強調されてしまいます。おすすめは、眉山にやや角度をつけた「アーチ眉」です。眉の中間から眉尻にかけて、少しだけ角度をつけることで、顔に立体感が生まれます。また、眉尻を眉頭より少しだけ高く設定した「上昇眉」も、顔全体をリフトアップして見せる効果があり、シャープな印象を演出できます。 - 太さ:やや細め〜標準
太すぎる眉は、顔の中で主張が強くなり、のっぺりとした印象を助長してしまう可能性があります。すっきりと洗練された印象を目指すなら、やや細めから標準的な太さがベストバランスです。 - 長さ:少し長めに描く
眉を少し長めに描くことで、顔の横の余白が埋まり、視覚的な小顔効果が期待できます。眉尻の位置は、後述する黄金比率の基本である「小鼻と目尻を結んだ延長線上」を意識して、短くならないように注意しましょう。
私が丸顔で悩まれていたお客様に施術する際、よく使うテクニックがあります。それは、眉山をほんの少しだけ(1〜2ミリ程度)外側に設定すること。こうすることで、顔の中心から外側へと視線が誘導され、頬の丸みがカモフラージュされるのです。このわずかな違いで、お客様からは「顔がキュッと引き締まって見える!」と大変喜ばれます。
丸顔さんは、眉でシャープなアクセントを加えることで、本来の可愛らしさに加え、洗練された大人の魅力を手に入れることができるのです。
4.面長さんの顔のバランスを整える眉の形
【面長さんの特徴と魅力】
顔の横幅に対して縦の長さが際立つ面長さんは、大人っぽく、落ち着いた雰囲気が魅力です。クールで知的な印象を与え、すっきりとしたフェイスラインを持っている方が多いでしょう。その一方で、「顔が長く見えてしまう」「実年齢より上に見られがち」「間延びして見える」といったお悩みを抱えることも。
【デザインのゴール】
面長さんの眉デザインのゴールは、顔の縦の長さをできるだけ強調せず、視線を横に誘導することで、顔全体のバランスを理想的な卵型に近づけることです。
【おすすめのアイブロウデザイン】
- 形:角度をつけない「平行眉」が基本
面長さんが最も避けたいのは、眉山に急な角度をつけた眉です。眉に角度があると、顔の中に縦のラインが生まれてしまい、顔の長さをより強調してしまいます。そこでおすすめなのが、眉頭から眉尻までがほぼ一直線になる「平行眉」です。平行眉は、顔を横に分断するように見せる効果があるため、縦の長さを自然にカモフラージュしてくれます。 - 太さ:少し太めを意識する
眉を少し太めに描くことで、眉から目の下の肌が見える面積が狭くなります。これも、顔の長さを短く見せるための重要なテクニックです。細すぎる眉は、肌の面積を広く見せてしまい、面長を強調するので注意が必要です。 - 長さ:標準的な長さをキープ
短すぎる眉は顔の中心にパーツが寄って見え、顔の上下の余白を際立たせてしまいます。黄金比率に基づいた、標準的な長さを意識しましょう。
とはいえ、「完全な平行眉は、なんだか不自然で似合わない気がする…」と感じる方もいるでしょう。その通り、骨格によっては平行眉がしっくりこない場合もあります。そんな時に私がよく提案するのが、「平行アーチ眉」です。これは、眉頭から眉山までは平行を意識して描き、眉山から眉尻にかけては、ごく緩やかなカーブを描いて自然に下げるデザイン。平行眉の持つ「長さ緩和効果」と、アーチ眉の持つ「自然な柔らかさ」を両立できる、まさに万能なデザインです。
面長さんは、眉で穏やかな水平ラインを作ることで、持ち前の知的な雰囲気に優しさをプラスし、パーフェクトなバランスを手に入れることができるのです。

5.ベース顔さんの印象を和らげるアーチデザイン
【ベース顔さんの特徴と魅力】
エラがしっかりとしていて、フェイスラインが直線的なベース顔さんは、意志が強く、しっかりとした印象を与えます。骨格がはっきりしているため、海外のモデルのような、クールでスタイリッシュな雰囲気が魅力です。しかし、その一方で、「顔が大きく見える」「少し男性的に見られがち」「キツい印象を与えてしまう」といった悩みを抱えていることがあります。
【デザインのゴール】
ベース顔さんの眉デザインのゴールは、直線的で角張ったフェイスラインの印象を、曲線的な眉のデザインで中和し、女性らしい柔らかさと優雅さをプラスすることです。
【おすすめのアイブロウデザイン】
- 形:なだらかな曲線を描く「アーチ眉」
ベース顔さんが最も避けたいのは、カクカクとした角度のある眉や、直線的な平行眉。これらは、フェイスラインの直線と共鳴してしまい、エラの印象をより強めてしまいます。そこで、ぜひ取り入れてほしいのが、眉山に丸みを持たせた、エレガントな「アーチ眉」です。眉に美しい曲線を描くことで、フェイスラインの硬さが和らぎ、ぐっとフェミニンな雰囲気を演出できます。 - 長さ:少し長めに描く
眉尻を少し長めに設定し、スッと流れるように描くことで、視線が顔の外側へと自然に抜けていきます。これにより、気になるエラの部分から視線をそらす効果が期待できます。私がエラの張りを気にされていたお客様にこのデザインを施した際、「視線が眉尻にいくからか、エラが気にならなくなった!」と、その視覚効果に驚かれていました。 - 太さ:標準〜やや太め
しっかりとした骨格に負けないよう、眉もある程度の太さを持たせるとバランスが取りやすいです。細すぎる眉は、かえってフェイスラインの力強さを際立たせてしまうので、避けた方が良いでしょう。
【プロのワンポイントアドバイス】
アーチ眉を作る際、眉山をどこに設定するかが重要です。ベース顔さんの場合、眉山を少しだけ外側に作るのがおすすめ。顔の重心が外側に広がることで、エラ張りの印象を緩和する効果があります。
ベース顔さんは、眉で優雅な曲線を加えるだけで、持ち前のクールな魅力に、女性らしい気品が加わり、誰にも真似できない洗練された美しさを放つことができるのです。
6.逆三角顔さんに似合う優しい眉
【逆三角顔さんの特徴と魅力】
おでこやハチ周りが広く、そこから顎に向かってフェイスラインがシャープになっていく逆三角顔さん。そのすっきりとした顎のラインは、都会的でスタイリッシュな印象を与えます。小顔に見える方が多いのも、この顔型の特徴です。しかし、ハチ周りの広さと顎のシャープさの対比から、「キツく見られてしまう」「頭が大きく見える気がする」「頬がこけて見え、寂しげな印象になることがある」といったお悩みを持つことも。
【デザインのゴール】
逆三角顔さんの眉デザインのゴールは、眉の形で顔の上半分の印象をコンパクトに見せ、シャープなフェイスラインに優しさと柔らかさをプラスして、全体のバランスを整えることです。
【おすすめのアイブロウデザイン】
- 形:眉山に丸みを持たせた、緩やかな「アーチ眉」
逆三角顔さんが最も避けたいのは、角度が急な眉。シャープな顎のラインと相まって、さらにキツい印象を強めてしまいます。おすすめは、眉山に角を作らず、丸みを持たせた緩やかな「アーチ眉」です。眉に柔らかな曲線を取り入れることで、顔全体の印象がぐっと優しくなります。 - 長さ:やや短め〜標準
眉の長さを少し短めにすることで、顔の上半分の横幅をコンパクトに見せる効果があります。眉が長すぎると、おでこの広さをかえって強調してしまうことがあるので注意しましょう。ただし、短すぎるとバランスが悪くなるので、黄金比率を基本に、少しだけ内側で終えるくらいの意識がちょうど良いでしょう。 - 太さ:標準的な太さ
太すぎず、細すぎず、ナチュラルな太さがベストです。細眉は神経質な印象に、太眉は顔の上半分を重く見せてしまう可能性があります。
【プロのワンポイントアドバイス】
眉頭から眉山までの「眉の上のライン」を少しだけ直線的に、そして長めに描くことを意識してみてください。こうすることで、おでこの角の部分の余白が自然に埋まり、ハチ張りの印象を和らげることができます。
シャープなフェイスラインは、逆三角顔さんの紛れもない魅力です。そのクールな魅力を活かしつつ、眉で優しさを一匙(ひとさじ)加えてあげる。そのさじ加減こそが、あなたの個性を最大限に輝かせる鍵となるのです。
7.骨格から導き出す究極の似合わせ理論
これまで、顔の輪郭という「平面」で捉えた顔型診断に基づいたデザインを解説してきました。これだけでも、あなたの眉は格段に美しくなるはずです。しかし、プロフェッショナルが眉をデザインする際は、もう一歩踏み込んで、顔の凹凸、つまり「骨格」と「筋肉」という「立体」で捉えていきます。
これは、いわば究極のオーダーメイド。この理論を知ることで、あなたの眉は「似合う」のレベルを超え、「あなたにしか似合わない」唯一無二のデザインへと昇華します。
- 眉丘筋(びきゅうきん)を意識する
眉丘筋とは、眉毛が生えている部分にある、骨の緩やかな盛り上がりのことです。試しに眉の上を指でそっと触ってみてください。少し出っ張っているのが分かるはずです。実は、この眉丘筋の動きに沿って眉を描くと、笑ったり、驚いたり、表情を動かした時に、眉が非常に自然に見えるのです。逆に、この筋肉を無視して無理やりラインを描くと、無表情の時は綺麗でも、動いた瞬間に眉だけが顔から浮いたような、不自然な印象になってしまいます。 - 眉頭と鼻筋のゴールデントライアングル
眉頭の位置は、顔の彫りの深さ、つまり求心顔(パーツが中心に寄っている)か遠心顔(パーツが離れている)かの印象を大きく左右します。
・求心顔で、少しキツく見えがちな方は、眉頭を少しだけ離し気味に設定すると、優しい印象になります。
・遠心顔で、のっぺり見えがちな方は、眉頭を少しだけ内側(鼻筋側)に寄せると、顔の中心に立体感が生まれ、キリッとした印象になります。
この眉頭と鼻筋のバランスこそが、顔にメリハリを生む鍵なのです。 - 眉山と頬骨の連動
眉山の理想的な位置は、黄金比率で解説した通りですが、さらに骨格を意識するなら「頬骨の一番高い位置」との連動を考えます。頬骨のピークの少し外側に眉山のピークを持ってくることで、顔がリフトアップして見え、より立体的な小顔効果を生み出します。
これは、私が新人時代に、何人ものモデルさんの顔に触れ、骨の動きや筋肉の付き方を体に叩き込むようにして教わった理論です。お客様の顔の骨格を指で確認し、「ここの筋肉がこう動くから、眉山はここがベストですね」と判断する。このプロセスを経て初めて、本当にその人だけの「運命の眉」が完成するのです。ご自身の眉メイクでも、この「骨格」を少しだけ意識してみると、仕上がりが格段に変わるはずです。
8.眉の黄金比率と測り方
顔型や骨格といった、一人ひとり異なる要素に合わせたデザインを考える上で、その全ての土台となるのが、誰にでも共通する普遍的な美の基準、「黄金比率」です。この基本の物差しがあるからこそ、応用が効くのです。
もう一度、黄金比率の基本と、その測り方をおさらいしましょう。今回は、実際に道具を使って測る方法をイメージしながら読んでみてください。
【準備するもの】
・アイブロウペンシルのような、細くて長い棒状のもの
【黄金比率の測り方】
- 眉頭の位置を決める
・ペンシルを地面と垂直になるように持ち、小鼻のくぼみの真横に当てます。ペンシルが眉と交わった部分、そこがあなたの理想の「眉頭」です。 - 眉山の位置を決める
・ペンシルを斜めに持ち、小鼻のくぼみと、黒目の外側のフレーム(白目との境目)の2点を結びます。その延長線上で、眉と交わった部分が、あなたの顔を最も立体的に見せる「眉山」です。 - 眉尻の位置を決める
・ペンシルをさらに斜めにし、今度は小鼻のくぼみと、目尻の2点を結びます。その延長線上が、あなたの顔を最も引き締めて見せる「眉尻」です。 - 高さのバランスを確認する
・最後に、ペンシルを地面と水平になるように持ちます。理想は、「眉頭の下のライン」と「眉尻」が、このペンシルのライン上に乗ることです。眉尻がこのラインより極端に下がらないように注意しましょう。
この黄金比率は、あなたの骨格から導き出された、いわば「眉の設計図の原案」です。そして、この原案を基に、あなたの顔型に合わせてアレンジを加えていくのが、似合わせデザインの極意です。
- 丸顔さんなら… 眉山を黄金比率の位置より、ほんの少しだけ高く設定してみる。
- 面長さんなら… 眉山をあえて作らず、眉尻までをなだらかに繋いでみる。
このように、基本の黄金比率という絶対的な基準を知った上で、自分の顔型に合わせてどう崩していくか、どうアレンジするかを考える。これが、眉デザインの最も面白く、奥深い部分なのです。

9.プロが実践するアイブロウデザインの基本
お客様を目の前にして、プロのアイブロウリストがデザインを決定するまでには、顔型や黄金比率のチェック以外にも、数多くの観察と分析を行っています。それは、静止した顔だけでなく、動いた時の表情や、その人が纏う雰囲気までをも含めた、総合的なカウンセリングです。
ここでは、私がお客様の眉をデザインする際に、必ず確認しているプロならではのチェックポイントを特別にご紹介します。ご自身の眉デザインを考える際のヒントにしてみてください。
- 左右のバランスを徹底的に観察する
人間の顔は左右非対称です。目の大きさや高さ、こめかみの広さなど、微妙な違いが誰にでもあります。プロは、その左右差を眉のデザインでいかに補正し、顔全体のバランスを整えるかを考えます。例えば、片方の目が少し小さい場合、そちら側の眉をほんの少しだけ太く、高く描くことで、目の印象を強め、左右のバランスを近づける、といったテクニックを使います。 - 毛流れと毛質を見極める
眉毛の一本一本には、個性があります。上向きに生えているのか、下向きに寝てしまっているのか。毛質は硬いのか、柔らかいのか。この毛流れや毛質に逆らったデザインは、どうしても不自然に見えたり、時間が経つと崩れやすくなったりします。基本は、その人の持つ自然な毛流れを最大限に活かすこと。これが、ナチュラルで美しい眉への一番の近道です。 - 表情の癖(筋肉の動き)を読む
カウンセリングの際、私はお客様に、笑ったり、驚いたり、いくつかの表情を作っていただくようお願いしています。なぜなら、無表情の時に完璧な眉も、表情を動かした途端に形が崩れてしまうことがあるからです。特に眉を上げる癖がある方は、その動きを計算に入れてデザインしないと、驚いた時に眉が「ハ」の字になりすぎてしまうことがあります。動いた時に最も美しく見える眉こそが、本当にその人に似合う眉なのです。 - ファッションやヘアスタイルとの調和を考える
眉は、顔の中だけで完結するものではありません。その人のファッション、ヘアスタイル、メイクの好み、さらにはライフスタイルや職業までをも含めた、全体の雰囲気と調和して初めて、その人らしさが輝きます。例えば、フェミニンな服装が多い方に、あまりにも男性的で直線的な眉は似合いません。その人が持つ全体のイメージに、眉が自然に溶け込んでいるか。これが、デザインの最終的な決め手となります。
これらの多角的な視点を持つことで、単に「整った眉」ではなく、その人の魅力を最大限に引き出す「パーソナライズされた眉」が生まれるのです。
10.なりたいイメージで選ぶ眉デザイン
顔型や骨格から導き出す「似合う眉」の理論は、あなたの魅力を最大限に引き出すための、非常に強力な土台となります。しかし、眉デザインの楽しさは、それだけではありません。
「今日はどんな自分になりたいか」
その日の気分やファッション、TPOに合わせて、なりたいイメージから眉デザインを選ぶという、ポジティブなアプローチもまた、眉メイクの大きな醍醐味です。土台となる似合わせ理論を理解した上でなら、イメージチェンジも失敗なく楽しむことができます。
ここでは、代表的な「なりたいイメージ」と、それを叶える眉デザインのポイントをご紹介します。
- 優しく、親しみやすい印象になりたい
・デザイン:眉山に角度をつけすぎない、なだらかな「アーチ眉」や「平行眉」がおすすめです。曲線的なデザインが、柔和な雰囲気を演出します。
・カラー:明るめのブラウンや、赤みのあるブラウンを選ぶと、より血色感がアップし、優しい印象になります。 - クールで、知的な印象になりたい
・デザイン:眉山をしっかりと作り、眉尻に向かってシャープに描く「上昇眉」や、直線的なラインを意識した少し長めの眉が効果的です。都会的で洗練された雰囲気を醸し出します。
・カラー:ダークブラウンやグレー系のカラーで引き締めると、より知的でクールなイメージが強調されます。 - ナチュラルで、ヘルシーな印象になりたい
・デザイン:自眉の毛流れを最大限に活かし、作り込みすぎないのがポイント。少し太めに、パウダーでふんわりと仕上げ、眉頭の毛はクリアマスカラで立ち上げると、生き生きとした健康的な印象になります。 - エレガントで、女性らしい印象になりたい
・デザイン:全体的に曲線的で、繊細なラインを意識した「アーチ眉」が最適です。眉尻は特に細く、スッと流れるように描くことで、優雅で上品な雰囲気が生まれます。
週末のカジュアルなファッションにはナチュラルな太眉、大事な仕事のプレゼンテーションの日には知的な上昇眉、といったように、アイシャドウやリップの色を変えるのと同じ感覚で、眉も「着替え」てみる。
自分の顔型に似合う基本の形をマスターすれば、こうしたイメージチェンジも自由自在です。ぜひ、眉メイクで様々な自分を演出し、毎日をもっと楽しんでみてください。

「似合う眉」は、あなたの魅力を再発見する旅の始まり
顔型診断から始まるアイブロウデザインの世界、いかがでしたでしょうか。丸顔、面長、ベース顔、逆三角顔。それぞれの顔型が持つユニークな魅力と、それを最大限に引き出す眉の形。もしかしたら、「自分に似合うのは、今まで思っていた形と全然違った!」という新しい発見があったかもしれません。
覚えておいてほしいのは、顔型診断や黄金比率は、あなたを窮屈なルールで縛り付けるためのものではない、ということです。それらは、あなた自身もまだ気づいていない、新たな魅力を発見するための「ヒント」であり「信頼できる道しるべ」です。
自分の顔とじっくり向き合い、特徴を理解し、チャームポイントを活かす方法を知る。そのプロセスは、単に眉を美しくするだけでなく、自分自身をもっと好きになるための、素晴らしい旅のようなものだと私は思います。
この記事が、あなたの「眉メイク迷子」からの卒業と、自信に満ちた新しい自分に出会うための一助となれたなら、これ以上の喜びはありません。さあ、鏡を持って、あなただけの魅力を再発見する旅を、今日から始めてみませんか。