美容師資格取得にかかる費用を徹底比較!学費を抑える賢い方法

この記事でわかること

課程別(昼間・夜間・通信)のリアルな学費総額とコスパ比較
意外と見落としがちな教材費・実習用具代の具体的な内訳
返済負担を最小限に抑えるための奨学金・支援制度の賢い選び方

「おしゃれな美容師になりたい」「自分の技術でお客様を笑顔にしたい」。
そんな素敵な夢を抱きながらも、現実的な壁として立ちはだかるのが「学費」の問題ではないでしょうか。

専門学校に通うにはまとまったお金が必要です。
「親に負担をかけたくない」「自分には払えないかもしれない」と、費用のことで夢への一歩を踏み出せずにいる方も多いかもしれません。
しかし、諦めるのはまだ早いです。現在の日本では、学ぶ意欲のある人を支えるための様々な制度が整えられており、情報の集め方次第で、経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。

これから、美容師免許を取得するために具体的にいくら必要なのか、そしてその費用をどうやって工面し、抑えることができるのかを、どこよりも詳しく、分かりやすく解説していきます。
お金の不安を解消し、安心して夢に向かって進むためのガイドブックとして活用してください。

目次

1. 昼間・夜間・通信課程の学費相場

美容師になるためには、厚生労働省が指定する美容師養成施設(美容専門学校)を卒業し、国家試験に合格する必要があります。学校には大きく分けて「昼間課程」「夜間課程」「通信課程」の3つの通い方があり、それぞれ学費や生活スタイルが大きく異なります。

まずは、それぞれの課程で実際にかかる費用の相場と、その内訳について詳しく見ていきましょう。単純な金額の比較だけでなく、生活費を含めたトータルコストで考えることが重要です。

最もポピュラーな「昼間課程」の費用感

多くの高校生が進学先に選ぶのが、2年制の昼間課程です。平日の日中に授業が行われ、実技指導や学科のカリキュラムが最も充実しています。

学費の総額は、地域や学校の設備によって幅がありますが、一般的には2年間で200万円〜300万円程度が相場と言われています。都心部の有名校や、海外研修などが充実している学校では、300万円を超えることも珍しくありません。

  • 入学金: 10万〜20万円程度。合格時に納入します。
  • 授業料: 年間60万〜90万円程度。前期・後期で分納できる場合が多いです。
  • 施設設備費: 年間20万〜40万円程度。最新のシャンプー台や実習室の維持管理に使われます。

金額だけ見ると最も高額ですが、その分、現役のトップスタイリストから直接指導を受けられたり、就職サポートが手厚かったりと、金額に見合うメリットが豊富にあります。「最短で即戦力の美容師になりたい」という方には、やはり昼間課程が一番の近道です。

働きながら学べる「夜間課程」のメリット

夕方から夜にかけて授業が行われる夜間課程は、昼間にアルバイトをしたり、仕事をしたりしながら通うことができます。学費は昼間課程よりも少し安く設定されていることが多く、2年間で150万円〜200万円程度が目安です。

授業時間が短い分、カリキュラムは国家試験対策に特化している傾向があります。昼間に美容室でアシスタント(通信生・見習い)として働きながら夜間に通う学生も多く、現場経験を積みながら資格取得を目指せるのが大きな強みです。

圧倒的な低コスト「通信課程」の真実

「とにかく費用を抑えたい」という方にとって、最も魅力的なのが通信課程です。学費の総額は3年間で50万円〜80万円程度と、昼間課程の3分の1から4分の1程度で済みます。

通信課程は3年制(※従事者コース・非従事者コースなどの区分がある場合も)で、普段は自宅でテキスト学習(レポート提出)を行い、夏休みなどの特定期間に学校へ登校して「スクーリング(面接授業)」を受けます。

「こんなに安いなら通信一択では?」と思われるかもしれませんが、注意点もあります。基本的に「自習」がメインとなるため、実技の練習などは自分でモチベーションを維持して行う必要があります。また、国家試験の合格率も、毎日先生に見てもらえる昼間生に比べるとやや低くなる傾向があります。サロンで働きながら実践で技術を学べる環境にある人には最適ですが、全くの未経験から通信だけで技術を習得するのは、かなりの努力が必要です。

各課程の費用比較まとめ

それぞれの課程における学費目安と特徴を整理しました。ご自身の現在の状況や、どれくらい時間をかけられるかによって最適な選択肢は変わってきます。

課程修業年数学費総額の目安特徴・コスト感
昼間課程2年200万〜300万円最も高いが、指導や設備が充実。仲間と切磋琢磨できる。
夜間課程2年(※2.5年の場合も)150万〜200万円昼間に働いて収入を得られるため、実質負担を軽減しやすい。
通信課程3年50万〜80万円圧倒的に安い。自己管理能力と現場での経験が必要。

関連記事:【美容師資格】高校生必見!夢を叶えるための免許取得までの完全ロードマップ

2. 学費以外にかかる費用(教材費・実習費など)

パンフレットに載っている「学費」だけを見て予算を組んでいると、入学後に「こんなにお金がかかるなんて聞いてない!」と慌てることになります。美容学生には、授業料以外にも多くの「道具代」や「消耗品費」がかかります。これらは決して安くない金額ですので、事前にしっかりと把握しておく必要があります。

美容学生の命「シザー」と「ウィッグ」の値段

まず、入学してすぐに購入するのが「教材セット」です。この中には、ハサミ(シザー)、コーム(櫛)、ロッド(パーマ用)、白衣、バッグなどが含まれています。

特に値段が張るのがシザーです。プロ仕様のものは1丁で数万円から数十万円しますが、学生用セットでも一式で10万円〜20万円程度かかります。これは入学金とは別に、入学手続き時や入学直後に支払うケースが多いです。

そして、在学中に最もお金がかかる消耗品が「ウィッグ(カット用マネキン)」です。人の頭の形をした人形ですが、髪を切ってしまえば元には戻せません。練習のたびに新しいものが必要になります。

  • 練習用ウィッグ: 1体 3,000円〜5,000円程度。
  • 国家試験用ウィッグ: 1体 5,000円〜7,000円程度(規定に適合したもの)。

熱心に練習する学生ほど、ウィッグの消費量は増えます。2年間で50体以上使うことも珍しくなく、これだけで数十万円の出費になることも覚悟しておく必要があります。

検定料やコンテスト費用も積み重なる

美容学校では、国家試験以外にも様々な民間資格(ネイル、メイク、エステ、着付け、色彩検定など)を取得する機会があります。これらは就職活動でのアピールポイントになりますが、受験するたびに数千円〜1万円程度の検定料がかかります。

また、校内や外部のコンテストに参加する場合、モデルさんの衣装代やメイク道具、装飾品などの製作費は基本的に自己負担です。こだわり始めるとキリがありませんが、クリエイティブな活動には相応の投資が必要です。

具体的な「隠れコスト」リスト

入学案内には小さく書かれていることが多い、その他の費用をリストアップしました。これらも含めて資金計画を立てましょう。

項目概算費用(2年間)備考
教材費(初期セット)15万〜25万円シザー、ロッド、クランプ、教科書、白衣など一式。
消耗品費(ウィッグ等)10万〜30万円練習量に比例する。ローションやペーパーなども含む。
検定・受験料3万〜10万円任意受験のものが多いが、取得を推奨されるケースが多い。
国家試験受験費用約2万5,000円実技試験と筆記試験の受験手数料。

このように、学費以外にもトータルで30万〜60万円程度の費用を見込んでおくのが安全です。学校によっては、これらの教材費を「教材費込み」の学費として提示しているところもあるので、比較検討する際は「総額でいくらになるのか」を必ず確認してください。

3. 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

ここまで費用の話をしてきて、「やっぱり高いな…」と不安になった方もいるかもしれません。しかし、日本の専門学生の多くが何らかの奨学金制度を利用して進学しています。その中でも最も代表的なのが、「独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金です。

これは「お金を借りて、卒業後に少しずつ返済していく」制度です。借金であることには変わりありませんが、金利が非常に低く設定されているため、教育ローンなどよりも負担が少なく、多くの学生にとって強い味方となります。

「第一種」と「第二種」の違いを理解する

JASSOの奨学金には、主に2つのタイプがあります。

  • 第一種奨学金(無利子): 借りた金額だけを返せば良い、非常に有利な奨学金です。ただし、成績基準(評定平均値など)や家計基準が厳しく設定されており、誰でも借りられるわけではありません。
  • 第二種奨学金(有利子): 卒業後に利息(上限3%)を含めて返済するタイプです。基準は第一種よりも緩やかで、多くの学生が利用しています。在学中は無利息です。

これらは併用することも可能です。また、入学した月の分から支給が始まるため、入学金や前期授業料の支払いには間に合わないという点には注意が必要です。入学前の費用は、後述する教育ローンなどで準備する必要があります。

入学時特別増額貸与奨学金とは

入学月の奨学金に、一時金を上乗せして借りられる制度です(10万〜50万円)。これも支給されるのは入学後ですが、「国の教育ローン」を申し込んだけれど審査に通らなかった家庭などを対象に、入学前の費用工面の補填として利用できる場合があります。

返済シミュレーションの重要性

奨学金は、卒業後の自分からの「借金」です。美容師の初任給は、地域やサロンにもよりますが、手取りで18万〜20万円程度からスタートすることが多いです。そこから生活費を払い、さらに毎月1万〜2万円の奨学金を返済していくのは、決して楽なことではありません。

奨学金を利用する前のチェックリスト

  • 卒業後の毎月の返済額を把握しているか(例:月々1.5万円×15年など)
  • 第一種(無利子)の基準を満たしているか確認したか
  • 「給付型奨学金(後述)」の対象にならないか確認したか

高校在学中に「予約採用」を申し込むと手続きがスムーズです。進路指導室の先生に早めに相談し、保護者の方ともしっかりと話し合いましょう。

4. 国の教育ローンと銀行の教育ローン

奨学金が「学生本人」が借りるものであるのに対し、教育ローンは「保護者」が借りるものです。最大の違いは、まとまったお金を一括で借りられる点です。これにより、入学金や前期授業料など、入学前に必要な大きな支払いに対応できます。

安心感のある「国の教育ローン(日本政策金融公庫)」

公的な融資制度であり、銀行よりも審査が通りやすく、金利も固定で低めに設定されています。子供一人につき350万円まで借りることができ、返済期間も最長15年(条件によっては18年)と長いため、月々の負担を抑えられます。

また、母子家庭や低所得世帯向けの優遇制度(金利の低減や保証料の割引など)があるのも特徴です。まずはここを第一候補として検討するのが一般的です。申し込みから融資まで20日程度かかるため、合格通知が来たらすぐに動く必要があります。

利便性の高い「銀行の教育ローン」

銀行や信用金庫などの民間金融機関が提供するローンです。国のローンに比べて金利は少し高めになることが多いですが、変動金利を選べば低く抑えられる場合もあります。

  • メリット: 融資スピードが早い。すで取引のある銀行なら手続きがスムーズ。限度額が高い場合がある。
  • デメリット: 審査が厳しめ。親の年収や信用情報が重視される。

最近では、学校が提携している信販会社の「学費ローン(教育クレジット)」を利用できるケースも増えています。これは学校が窓口となるため手続きが簡単ですが、金利が比較的高めになることがあるので、契約内容をよく確認しましょう。

関連記事はこちら:社会人から美容師資格を目指す!働きながら学ぶ通信課程のリアルと成功のコツ

5. 高等教育の修学支援新制度とは

2020年4月からスタートした、学びたい意欲のある学生にとって画期的な制度です。これは、「授業料・入学金の免除または減額」「給付型奨学金(返済不要)」の2つがセットになったものです。

対象となるのはどんな人?

この制度は、世帯収入や資産の要件を満たしている学生が対象です。支援の区分は、世帯年収によって第1区分から第3区分(2024年度からは多子世帯や理工農系の中間層へも拡大)に分かれています。

  • 第1区分(住民税非課税世帯): 満額の支援が受けられます。
  • 第2区分: 第1区分の3分の2の支援。
  • 第3区分: 第1区分の3分の1の支援。

例えば、私立の専門学校に通う第1区分(自宅外通学)の学生の場合、入学金約16万円、授業料約59万円が上限で減免され、さらに年間約91万円の給付型奨学金がもらえます。これにより、実質的な自己負担がほとんどなくなるケースもあります。

「学びたい気持ち」があれば諦めないで

この制度の素晴らしいところは、成績だけで判断されない点です。高校の成績が基準に達していなくても、「レポート」や「面談」によって学習意欲が高いと認められれば支援を受けられる可能性があります。

「うちはお金がないから進学は無理」と諦める前に、まずは日本学生支援機構のホームページにある「進学資金シミュレーター」で、自分が対象になるかチェックしてみてください。この制度のおかげで、多くの学生が美容師への道を切り開いています。

6. 専門実践教育訓練給付金の活用

もしあなたが一度でも社会人として働いた経験があるなら、絶対に知っておくべき最強の支援制度があります。それが厚生労働省の管轄する「専門実践教育訓練給付金」です。

これは、働く人のスキルアップやキャリア形成を支援するための制度で、一定の条件を満たせば、学費の最大70%が国から給付されます(返済不要)。美容師養成施設もこの対象講座に含まれていることが多く、社会人から美容師を目指す人にとっては、まさに「切り札」とも言える制度です。

最大168万円が戻ってくる驚きの仕組み

この制度の凄さは、その支給額の大きさにあります。一般的な教育訓練給付金(最大10万円)とは桁が違います。

  • 受講中: 支払った教育訓練経費(入学金や授業料など)の50%が、半年ごとに支給されます(年間上限40万円)。
  • 卒業後: 資格を取得し、かつ卒業から1年以内に就職(雇用保険に加入)すると、さらに追加で20%が支給されます。

つまり、合計で費用の70%(上限168万円)が戻ってくる計算になります。例えば、2年間の学費が240万円かかる学校に通った場合、実質負担は約72万円で済むことになります。これなら、貯金が少なくても十分にチャレンジできるのではないでしょうか。

給付のタイミング給付率支給要件
受講中(6ヶ月ごと)費用の50%受講認定基準(出席率や成績など)を満たしていること。
卒業・就職後費用の20%美容師免許を取得し、卒業後1年以内に被保険者として雇用されること。
合計最大70%上限額は3年間で168万円(美容師養成課程は通常2年なので上限112万円等の場合あり※学校による)。

自分が対象かどうかを確認する方法

「自分も使えるのかな?」と気になったら、まずは以下の条件をチェックしてみてください。

  1. 雇用保険の加入期間:
    • 初めて利用する場合: 通算して2年以上。
    • 過去に利用したことがある場合: 前回の受給から3年以上経過していること。
  2. 離職してからの期間: 退職してから受講開始までが1年以内であること(妊娠・出産等の理由があれば延長可能)。

アルバイトであっても、雇用保険に入っていれば対象になる可能性があります。確実なのは、住んでいる地域を管轄するハローワークに行き、「支給要件照会」を行うことです。身分証明書があればその場で調べてくれます。

手続きは「入学の1ヶ月前」までに必須

この制度を利用するためには、ただ学校に入学するだけではダメです。入学の1ヶ月前までに、ハローワークで「訓練前キャリアコンサルティング」を受け、受講確認の手続きを済ませる必要があります。

「ギリギリで申し込めばいいや」と思っていると、予約が取れずに間に合わないという悲劇が起きます。志望校がこの制度の指定講座になっているかどうかも含めて、早め早めの行動が鍵を握ります。学校のオープンキャンパスで相談すれば、指定講座かどうかすぐに教えてくれるはずです。

参考ページ:美容師資格・国家試験の合格率と一発合格するための勉強法【筆記・実技】

7. アルバイトと両立して学費を稼ぐ

親からの援助や奨学金だけでは足りない場合、あるいは生活費を自分で賄わなければならない場合、アルバイトは必須になります。「美容学生は忙しいからバイトなんて無理」という噂もありますが、実際には多くの学生が工夫して両立させています。

美容室でのアルバイト(レセプション・アシスタント)

美容学生にとって最も効率的かつ将来のためになるのが、美容室でのアルバイトです。

  • メリット:
    • 現場の空気に慣れることができる。
    • シャンプーやカラー塗布などの技術を、学校の実習よりも先に現場レベルで学べる(※免許がなくてもできる補助業務に限る)。
    • 就職活動時に「現場経験あり」としてアピールでき、そのままその店に就職できるケースも多い。
  • デメリット:
    • 土日が忙しいため、休日にしっかりシフトに入る必要がある。
    • 立ち仕事なので体力的にきつい。学校の後に働くとクタクタになる。

時給は最低賃金に近い場合もありますが、そこで得られる「経験値」をお金に換算すれば、コンビニや居酒屋のバイトよりも遥かに価値があります。

効率重視なら「高時給・短時間」のバイト

「平日は学校の練習に集中したいから、バイトは短時間で済ませたい」という人は、時給の高い職種を選ぶのが賢い選択です。

  • イベントスタッフ: 土日祝日に単発で入れるため、テスト期間中などはシフトを入れずに済む柔軟性があります。
  • 深夜の飲食店や清掃: 深夜割増で時給がアップしますが、翌日の授業で寝てしまっては本末転倒です。金曜や土曜の夜だけにするなど、体調管理を徹底しましょう。
  • コールセンター: 比較的時給が高く、座って仕事ができるため体力を温存できます。敬語やマナーも身につきます。

いくら稼げる? 現実的な収支シミュレーション

学業を疎かにせず、無理なく働ける範囲はどのくらいでしょうか。一般的な美容学生のモデルケースを見てみましょう。

パターンシフト例月収目安(時給1,100円)
学業優先型平日1日(4h)+土曜(8h)週12時間程度約5万〜6万円(お小遣い・消耗品費程度)
バランス型平日2日(各4h)+土日どちらか(8h)週16時間程度約7万〜8万円(生活費の一部を補助)
ガッツリ稼ぐ型平日3日(各5h)+土日(各8h)週31時間程度約13万〜15万円(学費の分割払いも可能)

月8万円稼げれば、2年間で約192万円になります。これだけで学費の半分以上を賄える計算です。「自分のお金で通う」という覚悟があれば、時間の使い方が上手くなり、結果として国家試験の勉強にも集中できるという相乗効果も期待できます。

参考:美容師資格を活かせる仕事はヘアスタイリストだけじゃない!広がるキャリアパス10選

8. 特待生制度や学費免除がある学校

公的な支援制度以外に、学校独自が用意している「値引き制度」も見逃せません。多くの美容専門学校では、優秀な学生を確保するために様々な減免措置を設けています。これらを上手く活用することで、数十万円単位で学費を安くできる可能性があります。

AO入試特典による入学金免除

今や専門学校入試の主流となっている「AO入試」。早い時期(6月〜9月頃)に進路を決めることで、入学金の一部(5万〜10万円程度)や選考料が免除される特典がついていることが多いです。

「早く決めるだけで安くなる」のであれば、利用しない手はありません。ただし、AOエントリーのためにはオープンキャンパスへの参加が条件になっていることがほとんどです。高1・高2のうちから気になる学校のイベントに参加し、「参加証」を集めておくことが、結果として学費の節約に繋がります。

特待生試験にチャレンジする

入学試験とは別に、「特待生試験」を実施している学校もあります。筆記試験、面接、あるいは実技(ワインディングやデッサンなど)を行い、成績優秀者には以下のような特典が与えられます。

  • Sランク(全額免除): 授業料が全額タダになる。非常に狭き門ですが、挑戦する価値はあります。
  • A〜Cランク(部分免除): 初年度授業料の半額免除、あるいは10万〜30万円程度の免除など。

「自分は頭が良くないから…」と諦めるのはもったいないです。専門学校の特待生試験は、学力だけでなく「やる気」や「将来性」、「高校時代の出席率(皆勤賞など)」を評価してくれる場合も多いからです。募集要項を隅々まで読み込み、どんな基準で選ばれるのかをリサーチしましょう。

親族割引や紹介制度などのユニークな割引

意外と知られていないのが、縁故による割引制度です。

  • 親族紹介制度: 両親や兄弟姉妹がその学校の卒業生・在校生である場合、入学金などが免除される。
  • 指定校推薦: 高校からの推薦枠で受験することで、選考料免除や学費の一部減額が受けられる。
  • 遠方者支援: 実家から離れて一人暮らしをする学生に対し、寮費の補助や家賃支援金が出る学校もあります。

これらの情報は、ホームページの目立たない場所に書かれていることもあります。パンフレットを取り寄せたら、「学費・奨学金」のページだけでなく、最後の「Q&A」や「募集要項」の細かい文字までチェックする癖をつけてください。

9. 最終的にかかる費用と美容師資格の価値

ここまで様々な費用と、それを抑える方法を見てきました。では、最終的に私たちはこの資格取得にいくら投資し、それに見合うリターンを得られるのでしょうか。コストパフォーマンスの視点から、美容師というキャリアを考えてみましょう。

200万円〜300万円は「高い」のか?

専門学校を卒業するまでに、生活費を除いても総額で200万〜300万円程度の投資が必要です。これは決して安い金額ではありません。しかし、他の国家資格(医師、歯科医師、薬剤師など)と比較すれば、期間も短く、費用も抑えられています。

何より、美容師免許は「一度取れば一生有効な国家資格」です。更新制度がないため、結婚や出産でブランクができても、いつでもハサミ一つで復帰できます。定年退職という概念もなく、腕と体力さえあれば70代、80代になっても現役で働き、収入を得続けることができる数少ない職業です。

生涯年収と独立の夢

「美容師は給料が安い」と言われたのは過去の話になりつつあります。現在は働き方改革が進み、固定給の改善や社会保険の完備、完全週休2日制のサロンが増えています。

さらに、美容師の最大の魅力は「独立」による収入アップの可能性が青天井であることです。

  • トップスタイリスト: 人気店で指名を増やせば、雇われのままでも年収500万〜800万円以上は十分に目指せます。
  • フリーランス(面貸し): 店舗を持たずに個人事業主として働けば、売上の50〜70%が自分の収入になります。自分のペースで働きながら月収50万円以上を稼ぐ人も珍しくありません。
  • オーナー経営: 自分の店を持てば、年収1,000万円超えも夢物語ではありません。

200万円の学費は、将来数千万円、数億円を稼ぎ出すための「初期投資」と考えれば、決して高いものではないはずです。

10. 無理のない資金計画の立て方

夢を叶えるために最も大切なのは、「勢い」ではなく「計画」です。途中で「お金が足りなくて退学せざるを得ない」という最悪の事態を避けるために、入学前から卒業までの資金繰りをシミュレーションしておきましょう。

入学までの「イニシャルコスト」を確保する

奨学金や教育ローンの多くは、入学「後」に振り込まれます。しかし、合格通知を受け取ってから入学するまでの間に、入学金や前期授業料、教材費など、まとまった現金(約80万〜100万円)を支払う必要があります。

この「最初のお金」をどう用意するか。ここが最大の難関です。

  1. 親族への相談: まずは正直に夢を話し、頭金だけでも援助してもらえないか、あるいは「出世払い」で貸してもらえないか頼んでみましょう。
  2. 国の教育ローン: 前述の通り、入学前の支払いに充てることができます。早めの審査申し込みが必須です。
  3. 貯金: 社会人の方や、高校生でもバイトができる方は、入学までに少しでも現金を貯めておくことが心の余裕に繋がります。

在学中のキャッシュフロー表を作る

大まかで構わないので、2年間の収支予定表を作ってみましょう。紙に書き出すだけで、漠然とした不安が消えます。

資金計画のメモ書き例(月額換算)

  • 支出: 家賃5万 + 生活費4万 + 学費積立(後期分)5万 = 計14万円
  • 収入: 奨学金6万 + バイト代7万 + 親からの仕送り1万 = 計14万円
  • 対策: バイトに入れないテスト期間のために、夏休みに多めに稼いでプールしておく。

学費サポートセンターへの相談

もし計算してみて「どうしても足りない」と思ったら、志望校の事務局や「学費サポートセンター」に相談してください。学校によっては、授業料の「月払い制度(分割払い)」を導入していたり、提携企業の「奨学金制度(卒業後にその企業で働くことで返済免除)」を紹介してくれたりします。

学校側も、熱意のある学生を入学させたいと思っています。お金がないからといって門前払いすることはありません。プロのアドバイスを受けることで、自分では思いつかなかった解決策が見つかることもよくあります。

未来への投資!お金の壁を乗り越えて夢を掴もう

ここまで、美容師資格取得にかかるリアルな費用と、それを乗り越えるための具体的な方法をお伝えしてきました。最後に、この記事で最も伝えたかったことをまとめます。

美容師になるためには安くない費用がかかりますが、それをサポートする制度は充実しています。

  1. 選択肢は多様: 「昼間」「夜間」「通信」という通い方を選ぶことで、学費は50万円〜300万円まで大きく調整可能です。
  2. 支援制度のフル活用: 給付型奨学金、専門実践教育訓練給付金、特待生制度など、「返さなくていいお金」の情報を見逃さないことが、負担を減らす最大の鍵です。
  3. 投資価値のある資格: 一生ものの国家資格であり、将来的な独立や高収入の可能性を考えれば、学費は十分に回収可能な「投資」です。

不安を解消するためには、行動するしかありません。まずは以下の2つから始めてみてください。

  • 日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」を試す: スマホで簡単にできます。自分が給付型奨学金の対象になるか、貸与型なら月々いくら借りられるかを確認してみましょう。
  • 気になる学校の「募集要項」を取り寄せる: 綺麗な写真が載っているパンフレットではなく、白黒の冊子(募集要項)にこそ、特待生制度や学費の内訳といった重要なお金の情報が載っています。

「お金がないから無理」と諦める前に、使える制度を全て使い倒すつもりで調べてみてください。情熱と情報さえあれば、経済的な壁は必ず乗り越えられます。あなたが素敵な美容師になり、誰かを笑顔にする未来が来ることを応援しています。

美容師資格の費用に関するよくある質問

Q. 高卒ですぐ美容室で働くのと、専門学校に行くのとでは、どちらが得ですか?
A. 「通信課程」に通いながら働くのが、金銭的には最も負担が少ないです。
資格なしで働いてもカットなどはできません。サロンで見習いとして働きながら、通信課程(3年)で免許を取る道を選べば、学費を安く抑えつつ、給料を得て、さらに現場経験も積むことができます。ただし、仕事と勉強の両立には強い根気が必要です。

Q. 親がブラックリストでも奨学金は借りられますか?
A. 学生本人が借りる「JASSO奨学金」なら、親の信用情報は関係ありません。
奨学金は学生本人の名義で契約します。ただし、連帯保証人を親にする場合は審査に影響する可能性があります。その場合は、保証人を立てずに保証料を払って機関保証を利用する制度を選べば問題なく借りられます。

Q. 入学後に追加で徴収される費用はありますか?
A. 消耗品代や研修費として追加請求される場合はあります。
ウィッグを追加購入する場合や、希望制の海外研修に参加する場合などは別途費用がかかります。強制的に徴収される費用については、学校案内(募集要項)の「学費規定」に必ず記載がありますので、事前に確認しておきましょう。

Q. 途中で学校を辞めた場合、払った学費は返ってきますか?
A. 基本的に返還されませんが、未受講分の授業料は返る可能性があります。
入学金は返ってきませんが、授業料を前期・後期で分納している場合、まだ始まっていない後期の分は支払う必要がない(または返金される)ケースが一般的です。詳細は各学校の規則によります。

参考:収入アップに直結!現役美容師が取るべきプラスαのアイブロウ資格

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